放課後、珍しく部活がオフのため図書室で読書でもしてから帰ろうと廊下を歩いていた。
歩きながら、ついでに新しい本を借りていこうか、と考えていたとき、近くの教室から人が出てきた。

誰なのか気になってその人物に目を向けると、向こうも俺に気づいたようですぐに笑顔になる。


「柳!」


嬉しそうに俺に駆け寄る名前を見て、愛しさがこみ上げた。
そんな反応をされると、両想いなのではないかと錯覚してしまいそうだ。


「今から部活?」

「いや、今日はオフだ」

「へぇ……、珍しいね。テニス部がオフなんて」


嬉しそうな顔。驚いた顔。
ころころと表情を変える名前は、俺の心を乱す天才だ。彼女の言葉や表情ひとつひとつが、愛しくてたまらない。
今でさえ心臓がうるさく音を立てているのに、名前はまだ足りないとでも言うように言葉を続けた。


「じゃあさ、今日一緒に帰らない?」


一瞬、心臓が止まったような気がした。



全てが恋しい木曜日
(そんなの)(断れる筈がない)


2010,10.21
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -