※だって貴方に会いたかったからの続き
初めて真理に会ってからどれくらい経ったんだろうか。
あの日から毎日、部活が終わると精市の家に遊びに行っている自分がいた。遊びに行くといっても精市と遊ぶわけではなくて、俺は常に真理の傍にいる。
最初はそんな俺を不思議がっていた精市も最近では
「真理はあげないからね」
なんて冗談まで言うようになった。
まだ言葉も話せないような小さい子を、こんなに愛おしく思うなんて俺はどうかしてしまったのだろうか。
しかし俺の中には確信があった。この子は真理さんの生まれ変わりだと。
生まれ変わってまで、俺に会いにきてくれたのだと。
そして俺は、今日も真理に会いに行く。
「れー」
「れんじ、だ」
「れーっ、ん!」
真理を抱き上げて、そっと頬を撫でる。必死に俺の名前を呼ぼうとしているかのように見えるこの子がひどく愛おしい。
「あ、蓮二ずるいよ」
後ろから精市の声が聞こえた。
俺が振り返ると、不機嫌そうな顔をしてこちらに歩み寄ってくるところだった。
「俺の名前より先に蓮二の名前を呼ばせちゃだめだよ」
困った兄だ。そう思ったが口に出すことはしない。
口に出してしまえば、不機嫌な精市が更に不機嫌になってしまう。そうなると真理が悲しむのもまた事実なのだ。
「すまない。だが、どうしても呼ばせたくなってな」
「…気持ちはわかるけど…」
精市が言葉を濁した。
その先の言葉は予測できているのに、それを否定したいと思ってしまう。
耳を塞ごうにも真理を抱いていて叶わない。
「真理は、真理さんじゃないんだよ?」
その言葉がひどく胸に突き刺さった。
この子は真理さんだ。俺の愛した人だ。
そう思う一方で、精市に似た綺麗な青い髪が生えてきているのを見て、現実を突きつけられているような気がした。どことなく精市に似ている気がする。
だが、それでも。
「……わかっているさ」
この子は、俺の愛した人なんだ。
それでも君に会いたくて
(この子だけが)(今の俺の支えなんだ)
2011,2.8
 ̄ ̄ ̄ ̄
どうしても切なくなってしまう…。続きが読みたい!とのリクエスト(?)があったので書いてみました。
しかし…まだ続きそうですね、これ。
少し補足すると、幸村は柳を心配しています。そして、大切な妹を愛した人の代わりにしないでほしいとも思っていますが、直接は言えないのです。