「今日は何の日か知ってる?」


いつもと同じ帰り道、唐突にそんなことを訊かれた。
真理が何を言ってほしいのかすぐにわかったが、言ってやらない。


「一年記念日は3日後のはずだが?」

「…あれ、そうだったっけ」


…覚えていなかったのか。
まさかそう返ってくるとは予測していなかった俺は、いつもはあまり開かない目を思いっきり開いてしまった。

すると、そんな俺の目を見て、真理の肩がびくりと揺れた。


「ご、ごごごめんなさい!」

「落ち着け。怒っているわけではない」


くす、と笑えば真理の頬が膨れた。普通なら面白いであろうその顔も可愛いと思ってしまうのだから、恋とは不思議なものだとつくづく思う。

そう考えていると、ためらいがちに真理が口を開いた。


「本当に……今日、何の日か…知らないの?」


まるで拗ねているように口をとがらせてそう言った。
本当はもっといじめてやりたかったが、不安げに俺を見つめる真理には敵わない。


「…ほら、」


真理の白く小さな手を取り、手のひらサイズの箱を乗せる。
首を傾げて箱を見つめる真理に「開けてみろ」と言うと、そろりそろりと開け始めた。


「…っ、これ…!」

「誕生日、おめでとう」


箱の中身を見て固まる真理の耳元で小さくお決まりの台詞を呟くと、真理の顔はみるみる赤く染まり、目が潤み始める。
全てデータ通りだ。しかし、この込み上げてくるどうしようもない愛しさだけは、計算と違っていたようだ。


その証拠に、気がつけば俺は此処が通学路だということも忘れて真理に口づけていた。



これからもずっと
(隣で笑っていてほしい)




20101202
 ̄ ̄ ̄ ̄
柳さんの誕生日ネタはやったので、主の誕生日を祝ってみました。目指せ、脱スランプ。
箱の中身は指輪だといいなぁ、とか。

私は柳さんにこんなことされたら鼻血吹き出しそうです(^O^)
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