ザァザァ。ゴロゴロ。
表すならばそんな感じだろうか。
外では五月蠅いぐらいに雨が降り、雷が鳴っている。
そんな中俺はと言えば、付き合ってもいない女の家に上がりこんでいる。だが、付き合っていないからと言って、関心がないわけでも、ましてや嫌いなわけでもない。
俺が一方的に好意を抱いているだけだ。
想いを寄せている彼女が「雷が怖い」などと言って俺に泣きついてくればいいなんて考えていたが、俺の考えは甘かった。
いや、データ収集が足りなかったというべきか。
「雷もっと鳴らないかなぁー」
まさか、真理が雷好きだったとは。
そんな風には見えないし、そんな素振りも見せたことはなかった。だから俺は真理が雷を怖がる確率は高いだろうと踏んでいたのだが…。
「…何故、俺を呼んだんだ」
「え、なんで?」
「雷が好きならば、俺を呼ぶ必要はないと思うんだが」
少し考えていた真理だったが、すぐにその言葉の意味に気がついたらしい。
「雷は好きだよ。…でも、」
彼女が言い掛けたとき、辺りが真っ暗になった。ああ、停電か。そう気づくのに時間はそうかからず、俺はポケットに入れていたペンライトを取り出そうとした。
だが、手が動かない。否、動けなかった。
一瞬驚いたが、すぐにわかった。俺を拘束しているものの正体が。
「真理、落ち着け」
ガタガタと震える真理の頭にそっと手をやる。優しく撫でてやれば、俺の腰に回っている腕の力が少しだけ弱まった気がした。
「お前は、暗闇が苦手だったんだな」
まだ怖いのか、俺の言葉にコクコクと頷いて答える真理。彼女には申し訳ないが、俺は今、正直暗闇に感謝している。
「俺が傍にいる。だから泣かないでくれ」
「や、なぎ…」
震える声で、今にも消えてしまいそうな声で、俺の名前を呼ぶ。今、真理の頭の中には俺しかいないのかと思うとどうにかなってしまいそうだ。
俺を呼んだと言うことは、少しだけ…ほんの少しだけ期待してもいいんだろうか。
真理に頼られたという事実が嬉しくてたまらないなんて、俺もまだまだ子どもだな。
暗闇の中の光
「あー、怖かった」
「雷は好きだが、暗闇は苦手なんだな」
「うん、そうなんだ。…でも、柳がいたからいつもより怖くなかった」
「…それは嬉しいな」
20100727
 ̄ ̄ ̄ ̄
雷が苦手な夢主とかリアルにそういう女の子はよく見ますけど、私の周りって雷好きな子多いので(笑)
暗闇は割と大丈夫だけど、停電は苦手です。