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<設定>
※継承式編の最初の方に書いたので捏造まみれ

・骸とツナはデイモンとジョットの生まれ変わり
・デイモンはジョットを憎んでいる→そのため彼が創ったボンゴレを完全に壊滅させることが目的
・骸はデイモンの記憶がある


などなどの設定が許せる方はどうぞ。




 あれからどのくらい経ったのだろうか。
 ……貴方に対しての憎しみの炎は、いまだに消えるどころか衰える気配すらない。

 嗚呼、やはり――
 貴方が創り、遺したものを全て壊すまでは……


***


「ヌフフ……ようやく手に入れましたよ……」

 デイモンは腕の中の小柄な体を見下ろした。
 そこにいるのは、ボンゴレファミリー十代目ボス・沢田綱吉。
 突然のシモンの襲撃に混乱している最中に、眠らせて攫ってくるなど容易であった。ほかの者達は全員自らのボスから目を離していたから。全く、それでも守護者かと呆れるばかりだ。

 そんな中、何も知らないデイモンの標的は、マフィアなど微塵も感じさせないあどけない表情で眠りこけている。その無防備な姿に思わず口元が緩んでしまった。

「ボンゴレ自体はシモンが勝手に壊滅させてくれるだろうし……あとはこの少年さえ殺せば……」

 クク、と小さく笑いが漏れた。
 もうすぐだ。もうすぐ望みがかなう。

 だが、そのとき。一歩後ろをついてきていたクロームが声を発した。

「殺す? 沢田綱吉をですか? 勿体ないことをなさいますね」
「……クローム?」

 マインドコントロールによって彼女はデイモンの支配下に置かれている。指示されなければ会話もしないはずなのに。

「僕なら、もっと有効的にその子を使いますよ?」

 ようやくデイモンはそこにいるのがクロームではないことに気が付いた。

「六道骸……ですね」
「ご名答。」

 彼女が彼へと姿を変える。
 彼――骸は、腕を組んでデイモンを見返した。

「随分面白そうなことをしていらっしゃるではありませんか。ボンゴレを他ファミリーに潰させた上、僕の身体まで奪う予定だったとは……」
「おや、知っていましたか」

 顔には決して出さないが、内心かなり驚いていた。彼はいつからクロームの中にいたのか。
 全く気付かなかった自分に少々腹が立つ。

「貴方に意識を乗っ取られる寸前、クロームがヘルプを出してきましたのでね」

 クフフ、と彼が考えの読めない笑い方をした。

 ……計算外だ。それほど相手に隙を与えていたとは。

 暫し呆然としてしまうが……それどころではないことに気付く。

「それで? この子を有効に使えると言っていましたがどういうことです? 私としてはボンゴレの血を絶たなければ意味がないと思いますが。……君だって、この血に対して憎しみを持っているでしょう?」

 私の記憶を受け継いでいるのだから。

 その魂が永遠に輪廻を巡り続ける――その原因を作った張本人、ボンゴレプリーモが憎くないはずがない。

「ええ、勿論。ボンゴレもマフィアもジョットも昔から大嫌いですよ。でも……だからこそ、それは創った本人に壊させるべきではないですか?」

 それは……まさか。

「はい。沢田綱吉自身にボンゴレを壊していただきましょう。もう原型も何もかも留めないほどに」

 そして六道骸――その昔自分であった人物は、手を差し出した。

「僕と手を組みませんか、D.スペード。僕に協力してくれるなら、貴方のことも手伝って差し上げます」

 骸の言葉にデイモンは目を見開く。
 その様子に骸は笑みを深めた。

 さすがにこの申し出は予想外だったらしい。
 ……自分の身体を狙っている相手にこんな取引を持ち掛けているのだから、当然の反応だと思うが。

「……条件は何ですか? 私が君に協力することとは?」

 ようやく彼が口を開いた。

「簡単なことですよ。僕の本体を復讐者の牢獄から出していただきたい。あ、ちなみに身体は渡しませんよ?」

 時期を見て自分で脱獄するつもりだったけれど、この機会をむざむざ逃すほど馬鹿ではない。
 だが、自分の身体を渡すつもりはないので一応釘を刺す。
 するとデイモンは苦い顔をしながらも頷いた。

「……私の計画が露見した以上、それは呑みましょう。……あともう一つ、沢田綱吉にボンゴレを壊させる具体的な方法とは?」
「それも至ってシンプルです。記憶を消してマフィアを憎むように教えればいい。貴方と僕ならかなり強力な術がかけられるだろうし、それならいくらブラッド・オブ・ボンゴレでも解けないと思いますよ?」

 骸の考えを聞くと、デイモンは首を少し傾げて見せた。

「んー……それなら記憶を消すよりも、単純にマインドコントロールを行った方が楽ではありませんか?」

 思っていた通りの質問が返ってきたことに内心ほくそ笑みながら、骸は用意していた答えを口にした。

「確かにそうですが、素の沢田綱吉にやらせた方が面白いではないですか。」

 そう言うと、彼も瞬時にその考えを理解したらしく、にやりと笑う。

 やはり、元々は同じ人間だけあって、気は合うようだ。

 そのあともいくつか取り決めをすると、最後にデイモンはこう言った。

「いいでしょう。交渉成立です」
「ええ。宜しくお願いしますよ」

 お互いに全く同じ微笑みを浮かべると、相手の手を握った。




 こうして、二人の罪人は手を結び。

 ――今、復讐が始まる――


To be continued……?




失礼しました、似非シリアスでした!
結構前に書いたので設定がおかしい……しかも途中まで書いてすっかりその存在を忘れていたせいでかなり妙なところで終わってるし←
デイモンと骸が共犯ってのに滾るんです。二人が手を組めば色々な意味でやらかしてくれると思います。
このあとツナにあることないこと教えて立派なマフィア殺しに育てることでしょう。
またネタが浮かんだら続く……かも?

up:2011/09/24

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