「Buon Compleanno!」
パン!
疲れ果てた身体で任務から帰ってきて、報告書をアルコバレーノに投げつけ、さあ寝ようと自室に入った途端破裂音と同時に降りかかる紙吹雪。これを災難と言わずして何と言おうか。
「……ねぇ、綱吉?」
「ん? 何のことかな? とにかくおめでとう骸」
首を傾げるボンゴレ10代目、もとい沢田綱吉。今執務室で缶詰になっているとアルコバレーノに聞いていたのだが、それを突っ込む気力はとてもなかった。
そう言えば忘れていたが今日は6月9日だった、気がする。もう数時間で終わってしまうが。
でも今の僕に必要なのは祝福ではなく純粋な睡眠だ。
「……綱吉」
「あ、勿論プレゼント用意してるよ。骸のお気に入りのチョコ詰め合わせと、あと」
「それ明日でも構いませんか? いやお願いします明日にしてください」
「え?」
「僕、任務から帰ってきたばかりなんです」
「うん、知ってるよ、お疲れ様」
「だから……寝させろ。」
ああ、もういいや。
シャワーを浴びるのも服を着替えるのも面倒で、近くにあったソファーに倒れ込んだ。
視界の端に綱吉が慌てたような顔を捉えたが、なす術もなく重力に従って瞼は落ちる。
おやすみなさい。
***
「あっちゃー……」
寝息を立てる骸を前に、俺は頭を抱えた。
せっかく執務室から抜け出してきたのに……まあ急な任務をこいつに頼んだ俺も悪いかもしれないけどさ。いやでも今日までかかるとは思ってなかったしなあ……
「……絶対来年は2人分休みもらおう」
10年前から毎年この日はどんなことがあろうとこいつを祝ってきた。こいつは自分の誕生日なのに忘れそうになるくらい執着してないというか、どうでもいいって思ってるところがあるから、そんなことないって俺が教えるために。
……まあ今年は運が悪かった、か。
「……明日は全力で祝ってやるからな」
よし、さっさと戻って仕事終わらせよう。今日の分はもうできたから、頑張って明日の分も。
部屋に戻ろうと足を踏み出しかけたが、ふと思いついて踵を返す。
膝を付いて、眠る骸の頬にちゅ、と軽いキス。
「今日の分の、プレゼント」
ちゃんと渡したからな、Ti amo!
End
何かツナ骸でもいい気がしてきました←
男前なボスが好きです。
up:2013/06/09