Clap







ひだまりの日々 番外編 ギャグ(キャラ崩壊注意)





「はーーーーーーっ」


ある日の昼下がり。やけに長々しい溜め息が聞こえ、訝しく思いながら顔を上げる。


「……何だよその溜め息」

「…うー、ニールー!ボクどうすればいいんだろ?」


声を掛けてしまったのは失敗だった。ロッドはうーっと唸りながらテーブルに突っ伏した。
…これ、面倒なヤツだ。しまった。


「なんだロッド。悩みがあるならオレ様に言ってみろ」


今度はオレの隣から聞こえる偉そうな声。視線をやれば、優雅に足を組んでローズヒップティーを啜るメガネの姿が。


「おいニール!お前までヒナタみたいにオレ様の名前を忘れたフリするつもりか!?」

「なんだようるせーな、あんなヤツとオレを一緒にすんな。それと心読むな。さっさと帰れてめーら!」


対応したくもねーのにくだらない言い合いになってしまう。つーかマジで帰れ。なんで我が家のように寛いでんだよ!

そんなこんなで言い合いが続いているさなか、何か痛い視線を感じて前を見ると、ロッドが今まで見たことのないようなものすごい表情でオレたちを凝視していた。


「な、なんだよロッド…オマエにそんな風に熱く見つめられたらオレ様、」

「ね。二人はヒナタちゃんと仲良いよね」


アレンのキモい発言を華麗にスルーするロッド。噴きそうになったが、寸前のところで咳払いをして落ち着く。
スルーされた本人といえば、ショックを受けてすげーヤバい顔で固まっている。


「…どこをどう見たら仲良いように見えんだよ」


とりあえずアレンは放置することにしてそう返せば、ロッドは不満げに頬を膨らませた。


「えー、どう見たって仲良いでしょー。この間だって、牧場で楽しそうに話してるの見たよ?」

「いやあれは、あいつがモー子の面倒をちゃんと見てるか確かめに………って、なんで急にそんなこと気にしてんだ」


やけに食い下がってくる様を不審に思い問い返せば、ロッドは先程までの威勢はどうしたのか。何故が頬を赤らめた。それを見たアレンが何か言おうとしたが、それより早くロッドは表情を崩さずにアレンに右ストレートを喰らわせて黙らせた。


「実はボク…………ヒナタちゃんのこと、す、好きになっちゃったみたいなんだ!!」


パリーンッ

アレンのメガネが粉々に砕けた。
レンズの欠片が床に落ちる音だけが聞こえる静かすぎる空気の中…まず言葉を発したのは、


「…ま、マジで言ってんのかロッド!!?あんなゴリラみたいな女が好きなんて……目を覚ましてくれロッド!!!」


コイツだった。
粉々になってもはやフレームだけのメガネをそのままに、ここぞとばかりにロッドに接近しその頬をぺちぺちと叩く。
ロッドはそれを煩わしそうにしながらもムッと眉を寄せてアレンを睨む。


「ちょっと、言葉には気をつけてよ。ゴリラって誰のことを言ってる?次言ったらバックドロップかけるから」

「ロッドにバックドロップしてもらえるとかむしろご褒美ですッ!!…ってそうじゃない!とにかくあんなヤツやめておけ、あわよくばオレ様を選んでくれるとなお良し!」

「ヒナタちゃんを侮辱しながらさりげなくキモい発言挟むの本当にやめてくれないかな!?!もういい。アレンに言ったのが間違いだったよ!」


完全に頭にきたのかロッドはアレンの手を払いのけてから音高く舌打ちをかまし、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
……どうでもいいが、舌打ち後にぷいっとしても可愛くないからな。めっっっさ怖いから。つーかキャラブレッブレだぞ大丈夫かよ!?!

とんでもなく気まずい空気が漂う。正直関係ないオレも居た堪れなさがすごい。
アレンは頬を染めたまま払いのけられた手を見つめてうっとりしていた。…見てはいけないもの見ちまった。


「……あー、ロッド」

「…なに。どうせニールもボクのこと馬鹿にしてるんでしょ」

「いや、別に。いいんじゃねーか?(どうでも)」

「…!!ニール、」

「まぁ、(オレには関係ねーし)頑張ればいいんじゃねーか」

「ニール…ありがとう。まさかニールが応援してくれるなんて思わなかったよ。ありがとう!!」


よし。ロッドの機嫌が直った。アレンが横で「オレ様にはオマエの心の声が聞こえたぜ、ニール…」と痩せこけた顔でオレを見てきたがシカトしておいた。

…まぁ、なんつーか。ロッドも本気なんだな…何度も言う様にオレは関係ねーし、したいようにすればいいだろ。


……この時、適当に応援したが発端で延々と続く恐ろしい事態が巻き起こることになろうとは、この時のオレは考えてもいなかった。泣きたい。




番外編end.



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