沢田綱吉が白蘭を倒し、ユニがアルコバレーノを復活させ、この未来には平和が訪れたかのように思われた。
前任もヴァリアーの幹部へと復帰したわけであって、ミーは預かってもらう時の約束通り一週間後には師匠の元へ帰ることになった。


近づいたと思ったのにまた離れていく。


前任が羨ましい。またセンパイを取られてしまう。
ミーが最初の頃からヴァリアー幹部だったら良かったのに。そしたらもっと早くセンパイに出会えていたし、前任に嫉妬する事なんてなかったのに。

ベルセンパイと一緒にいるとミーの心は満たされるけれど、同時にこんなふうに自分で前任と比べたり、勝手に嫉妬してしまったり。
比べたって意味のない事ぐらい最初から分かっているのに、どうしてもやめられない。いつもこの繰り返し。
何を比べたって負けてしまう。幻覚の腕も、センパイと過ごした時間の長さも。全部、全部負けている。

本日何度目か分からないため息。

「何、お前王子といるの嫌なわけ?」
「嫌じゃないですけどー…」
「けど、何?」

「不安なんですー」

「…?」
「センパイの心が離れていくような気がして」
「俺が浮気するとか思ってんの?」
「違います!そうじゃなくて…」

前任が復活したから…。

小さくボソッと呟くと、そんなことかよ。といつもみたいに、ししし。と笑われた。

「つーかさ、フランここにいろよ」
「へ?」
「だーかーら。ボスに頼もうって言ってんの」
「ミー、ここに居ていいんですかー?」
「当たり前だろ!王子から離れるとか許さねーし」

不安だっただけにその言葉が嬉しくて泣きそうになったけれど、ぐっと我慢してお礼を言った。

「そうだ、」


俺が好きなのはお前だけ
 (…っ!キザですよー!)
 (ししっ、そのわりには顔赤いぜ?)





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