一面真っ白な雪景色。一般の人が足に板をつけて坂道を滑り降りてくる。
見ているだけなら一見簡単そうなのだが自分で滑ってみると案外難しかったりするものだ。さっきから立っては転んでの繰り返しでちっとも楽しくない。他のカップルを見てみると女は上手に甘えながら男にコツを教えてもらったり、手を引いてもらって起き上がるのを助けてもらったりと、実に楽しそうに話しているのを見ると苛々がさらに募る。いちゃつきに来たのなら他へ行ってくれと本気で頼みたくなるほどだ。

「ゲロッ」
転ぶのはこれで何度目だろう?たくさん転んだということもあり、立ち上がるのはもうおてのものだなのだが、もう起き上がり滑る気力は無かった。

「ししっ、また転んでんの?」

一緒に来たベルセンパイも初心者なはずなのに、転んだ所は1回も見ていない。

「センパイ裏切りですよー、なんで滑れるんですかー」
「だって俺、王子だもん」

皮肉を込めて言ったつもりなのにお決まりの台詞で返された。

「ほら、手」

その気遣いが普段と違って優しくて、頬が赤く染まったのが自分でも分かった。それを隠すように下を向いたまま手を伸ばすと優しく起こしてくれた。

「王子の後ろついてこいよ?」
「はいー」



センパイの指示に従って滑ってみたら転ぶ回数も少なくなって、今ではもう完璧に滑れるようになった。

「ししっ、王子のおかげじゃん?」
「ミーの運動神経が良いんですー」
「1番上まで行ってみっか」
「そうですね。せっかくですしー」

リフトに乗り込んで景色を楽しんでいると不意にフランと呼ばれた。センパイの方を見た瞬間に唇が奪われた。

「急に何するんですかー」
「ん?受講料貰ってなかったから」
「ばっ…ばかですかー、こんな場所で」

そう言ってもセンパイはしししっ。と笑うだけで気にしていないみたいだった。恥ずかしくて怒りたい気分だけど、一人頂上に取り残されると不安だから今日は許してあげることにした。


白い絨毯に染まる赤
 (恥ずかしくて寒さは消えた)



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スノボーしてたらカッコイイだろうな^p^
不意打ちのキスは黎架が好きなだけ←

黎架の妄想の産物ですが
りみちゃんに捧げます!





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