気が付いたら辺りは真っ暗だった。どこまでいっても黒、黒、黒。光なんか見えやしない。自分の存在さえもわからない。あぁ、自分は生きているのだろうか。心臓は動いているのだろうか。何もわからない。辺りは真っ暗。
暗い景色は見慣れてた。だっていつでも自分の視界の半分は黒だったから。でも確かに光はあった。父がいた。小十郎がいた。光があった。
でも今は?何も見えない。黒、黒、黒。真っ暗。
父は死んだ。母もいない。弟は殺した。真っ暗。三成も死んだ。幸村も死んだ。あぁ、誰もいない。
ーーまっくらだ。
「政宗」
ハッとした。目を覚ましたら兼続がいた。まだ、いた。光があった。儂はまだひとりじゃない。
ギュッと抱きしめると抱きしめ返される。ひとりじゃない。
(儂にはまだ、お前が。兼続がおる)
光がみえた。生きている。心臓も動いている。ひとりじゃ、ない。
堕ちていく気がした。あのまま暗い闇の中へ。でも引き上げられた、温もりに。暖かさに。光に。こいつがいる限りきっと堕ちることは、ない。
「おやすみ、兼続」
もう黒は見えない。
暗闇の中
貴方だけが唯一の光