幸村はいつも触れるだけの優しいキスをする。それに不満があるわけじゃない。愛されてるとわかるそれは心地がいいから。だがそれと同時に悔しくなる。まるで余裕を見せつけられてるようで
「もっと…」
いつものよう触れるだけのキスをされた後にそう言ってみた。もっと余裕をなくして欲しくて。だけど幸村は困ったように笑うだけで
「これ以上したら抑えられなくなりそうなので…」
「っ!ならもういいわ、バカめ!」
そんな幸村にまた余裕を見せつけられた気がした。それに拗ねてそっぽを向く儂はガキなのかもしれぬが…やはり悔しいもんは悔しい。
「すいません。政宗殿のことは大切にしたいのです」
別に幸村なら許せるのに。なんて思ったが言うのはやめた。なんだかんだこいつのする優しいキスが好きだから。それになにより幸村は頑固だ。暫くは進むことがないだろうこの関係を予想し、静かにため息を洩らした。
進まない関係
ただ触れたいのに貴方はそれを許してくれない。