いつもと同じように隣りに座り、いつもと同じように他愛ない話しをする。
でもここからがいつもと違っていた。それは政宗の口から発せられた。
「もう儂に会いにくるな」
まるでなんでもないことを言うかのように。だけど感情のない声で。暫くしても幸村からの返事はなく、いたたまれなくなった政宗は部屋をでようとしたが、ひきとめられた。
「お待ちください、政宗殿。もう一度私の目を見て言ってください」
「っなぜじゃ?」
「私には会いたくないのでしょう?なら言えますよね」
「………っもう、儂に会いにくるな…貴様の顔など、見とうない、わ」
やっと出たその声は震えていて、左目からは涙がポロポロと溢れだした。幸村はこうなることがわかってたように優しく涙を拭った。
「っバカめ!バカめバカめ!儂は…、儂はもう何も失いたくないんじゃ!」
醜いと母に嫌われ父を撃ち殺し弟をも殺した。失ってばかりの人生。それに今は乱世。お互いいつ死んだっておかしくはない。
「私はずっと政宗殿の側におります」
「そんなの嘘に決まっておる」
「確かに私は武士。その誇りのために戦で命を散らすのは本望です。でも例え私が死んでも私の魂は生きています」
この幸村の魂。いつでも政宗殿のお側に
幸村は迷いもなくはっきりと告げた。死後のことなど誰ひとりわからないというのに。
「お前は本物のバカだな」
「すみません」
「じゃがお前のその根拠のない、されど真っ直ぐな志しに儂は惚れた」
ずっと儂の傍におれ。そう言った顔に涙なんてなく笑みだけが残っていた。
未来永劫
例えそれが夢物語だとしても。