空が気持ちいいくらいに澄み渡るある日、俺は江戸にある賑やかな市場に来ていた。
乱世が去り、ゆっくりと出来る時間が増えたこの頃。
大きな市場でたくさんの店が並んでいる中、俺は着流しという楽な格好をして茶屋で愛しいあいつ…政宗を待っている。
最初は近寄ってもくれなかったが、話し掛けている内に心を開いてくれて。
不思議な事に、気付けばお互いが惹かれあっていた。
買い物をする人達で溢れた道の遠くにその愛しい姿を発見して思わず笑みがこぼれ、俺は団子を一つ頼んだ。
「宗茂すまぬ!遅れた…」
「かまわないさ、ほら」
息を切らして駆け寄る政宗を隣へ座らせると、頼んでいた団子が来た。
それを見た政宗の目が光ったのを見逃さない。
「政宗の団子だ」
「いいのか?宗茂のは?」
「俺はさっき食べた」
そう言うと、嬉しそうな顔をしていただきますと団子を頬張る政宗。
俺はその顔を見るのが好きだ。
団子を食べながら、政宗は俺を見上げる。
「それにしても、何故着流しなのだ」
「楽だからな」
「ほぉ…いい着物じゃ」
似合うておると言う政宗の口に団子の蜜がついていた。
何気なしに俺が指で蜜を掬い取りそのまま舐めると、政宗はみるみる内に真っ赤になる。いい反応だ。
「どうした?」
「な、何でもないわ馬鹿め…」
耳まで真っ赤にした政宗にたまらなくなり頬に口付ける。
政宗は茶屋でこんな事するなと怒るが、真っ赤な顔では説得力がない。
政宗は団子を食べ終え立ち上がる。
そして俺に手を差し出し、
「もう行くぞ馬鹿め」
とニッと笑って言った。
独眼竜と呼ばれる男のこんな可愛い顔を見るのは俺だけの特権だ。
こんなに幸せな事はない。
俺は政宗の手を握り立ち上がりながら、そう心の中で思うのだった。
幸せな特権
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蜂蜜さまからの頂き物です。
政宗がすごい可愛くてニヤニヤほのぼのしちゃいます(^p^)
こんな素敵な文ありがとうございます!