ぬくもり




政宗殿の最初の印象は愛らしいだった(性格は決していいとは言えないものだったけど)。そして次に抱いた印象は、なんと儚いお方なのだろうと

今私の腕の中で眠っている政宗殿と出会った時はお互いまだ子どもだった。それから時が経ち二人とももう立派な大人だ。

思えば当初の政宗殿は酷かった。何よりも目が冷たかった。まるでなんの感情も持たないような、それなのにすごく悲しそうな目。そして彼の態度。自分の周りに来るもの全てに冷たく当たり、避ける。親しくなるにつれてそれはなくなりつつはあったものの、警戒心だけは解いてはくれなかった。

ある時それを指摘したことがある。政宗殿は困ったように笑いながら無意識だと言った。

それを聞いた時、彼の過去を思い出し胸を痛めた。きっと想像する以上に辛いものだったのだろうと。だって無意識に周りに警戒することなどそうはないから。
そしてこの時に決めたのだ。必ずこの愛らしく、儚いお方をお守りせねばと。

「……き、むら…」
「おはようごさいます、政宗殿」
「すまぬ、寝ておったか…」

そう言い私から体を起こそうとする政宗殿を後ろから抱きしめた。一瞬強張り、それでも抵抗せず背中を預けてくれた。
前なら絶対にあり得ないこと…そう思うとより一層愛しく思った。

「政宗殿」
「どうしたのじゃ?」
「私が一生お守り致します」
「…当たり前じゃ、バカめ」

顔を真っ赤にしながら頬を緩める政宗殿をみてもう一度強く抱きしめた。



(嗚呼、なんて幸せなのだろう)






(110923)
尚さま。更新遅れてしまい申し訳ありません。
幸政のなれ初め?で甘々とのことでしたが、甘くなってるでしょうか?ってかなれ初めになってないような…
書き直して欲しい箇所があればいつでも受け付けます。





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