焦れったい




俺の上司、殿は奥州王伊達政宗にご執心だ。それはもう、普段の殿を知っている者が見たらひっくり返るんじゃないかと思うくらいに。

「政宗」

と殿がその男を呼ぶ声はすごく熱っぽく甘くて、どれだけ好きかを物語っている。が、それと同時に伸ばされた手はその男の手によって払い落とされる。

「儂は独眼竜伊達政宗じゃ。お主ごときが気安く触るでないわ!バカめ」

今でこそ慣れたが最初は驚いた。こんな可愛い顔をした子がそんな事を言うなんて、と。
それと同時にそこまで拒絶される殿に同情もした。が、いつからだろう。奥州王政宗さんの変化に気付いたのは。

最近は悪態を吐くも殿の甘い声に微かに頬が染まっているのがわかって、折角来たんだから茶くらいならだしてやるわ、なんてツンデレっぷりも発揮してくる始末だ。

それでも本人は認めようとはしないし、殿もその変化に気付かないんだからどうしようもない。そこまで考えたらため息が出てきた。

「ため息なんかついてどうした、左近」
「疲れておるのか?お主の分の茶もあるからのんびりしていくといいぞ」

こっちの気も知らずに自分を覗き込んでくる二人に、まぁこの二人が幸せならもう少しこのままでいいか。なんて投げやりに考え、一口お茶を飲んだ。



(とっくの昔に両想いなのに、)






(110923)
琴さま。かなり更新遅れてしまい申し訳ありません!
三政でくっつかない二人に周りがやきもちでしたが、あれ?三成も政宗もほとんど喋ってないし、ほぼ左近の一人称だし…
書き直して欲しい箇所があればいつでも受け付けます。






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