「うー、レンったら…見えるとこにはつけないでって言ったのに」

首筋から胸元にかけて散らばる鬱血の痕を確認しながら鏡越しにこちらを睨むリン。
紅い花弁のようなそれはリンの白い肌によく映えていて、僕は気に入ってるんだけど。

「なんで?キスマーク、嫌い?」
「好きとか嫌いとかじゃなくて…は、恥ずかしいからっ」

目元をほんのりと染めて恥じらうリンが鏡に映る。
うん、可愛い。犯罪級の可愛さだ。思わずもう一度ベッドに引っ張り込みたくなる。
もしかして遠まわしに誘ってるのかな?でも昨日も朝まで付き合わせちゃったしなあ……明日は収録あるし、我慢我慢。

「ちょっと、レンってば聞いてるの?」
「ん?あー…いいじゃん、別に。リンは僕のなんだから。そのシルシ」
「…………っ」

とうとう耳まで真っ赤にして俯いてしまった。あーもう、可愛いなあ。
こんなに可愛いリンを独り占めにできるのは僕だけなんだ。キスマークはその証。僕だけがリンに刻める所有印。
恥じらうリンを他の奴らにも見られるのは癪だけど、リンは僕のモノって自慢したい気持ちも強くって、だからリンには悪いけどやっぱりやめられそうにない。

「…………のに」
「え?」
「……こんなのなくたって私はずっとレンだけのものなのに」
「…………」
「レン?」
「あー……ごめん、今夜も寝かせてあげられないかも」
「え、ちょ、レン!?………っ、あっ」

寝不足で収録か…キッツいなあ。
まったく、恋人が可愛すぎるのにも困ったもんだ。

くすり、と溜め息まじりの笑みをこぼして、僕はリンの柔らかな肌に再び唇を這わせた。


君は僕のもの

翌日、首筋どころか二の腕やふくらはぎにまで拡がったキスマークに怒ったリンが部屋に閉じこもってしまい、僕はフローリングに額を擦りつけることになるのだった。


この後、収録に遅刻してマスターにも怒られちゃいます。
それでも自重ができないレン君。困ったもんです。


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