幸せの絶頂で死にたい
「っ、……うっ!」
あまりにも痛かったのだろうか黄瀬は涙を流した。本来ここは排出するはずの場所で、何かを受け入れるべき場所ではない。俺に気をつかっているのか黄瀬は苦痛の言葉を出そうとはしなかったがやっぱ痛いよな。
「…あ、青峰っち止めないで!俺、大丈夫だから。」
「あ?…お前辛そーじゃねぇか。」
「大丈夫っス。痛いけど…嫌じゃないから…。」
正直、苦しむ顔の黄瀬も中々良いが俺一人だけで気持ち良くなるわけにはいかない。それに黄瀬を傷つけるような真似はしたくなかった。俺だって一応、それなりに黄瀬を愛しているんだ。
黄瀬は俺がこの行為を中断させようとしているのに気づいたのか、ご自慢の長い足で俺をガッチリ捕まえて離さなかった。これでは俺は黄瀬の中から俺自身を抜き出すことができない。辛い…動くこともできなければ、逃げ出すことすらできないのだ。
「おいコラ黄瀬、離せ。」
「………いや。」
「…わがまま言ってんじゃねーよ。お前このままだとココが裂けちまって血がでるぞ。モデルが体に傷つくってもいいのかよ。」
「誰がケツの穴の写真とるんスか。…嫌だ、離さない。青峰っちと最後までしたい。それに青峰っち。あんたがここまできて我慢できるんスか?」
黄瀬がここまで我が儘を言うのは珍しく、その対応に困った。意外とこいつは頑固なんだ。
「できねーよ。だから言ってんだろ。…俺だって不安なんだよ。」
俺にしては珍しく弱気な発言をしたと思う。でも事実だ。
俺があまりにも情けない顔をしていたのか黄瀬は青峰っち、と小さく呟いて抱きついた。
以心伝心なのか俺もなんとなく黄瀬を抱きしめたかったから、素直に黄瀬の口もとに頭を寄せた。
青峰っち、青峰っち。痛い、けど、大丈夫だから。ちゃんと俺、嬉しいから。
…え?その言葉の意味を理解するのに頭が追いつかなくて、黄瀬へと目を動かした。黄瀬はこっち見んな馬鹿、と言って両腕で顔を隠してしまった。
その瞬間、黄瀬の中にきゅっと締めつけられ俺の世界が真っ白になった。
お題:自慰