己の正義
「君はなぜメガトロンに加担する」
私はその問いに心から笑った。声に出して笑った。こんなに笑ったのは久しぶりだというぐらい笑った。
「理由が必要か?」
「君のような者がなぜ悪になったか、それを聞きたいのだ」
ああ、これも正義の行いなのだろうか。また笑いがこみ上げてくる。
「悪か。私は別に悪になったわけではない」
「どういうことだ」
「私からしてみれば、そちらが悪に見えるからだ」
息を呑む音が聞こえる。
そうだ、私からしてみればオートボットは悪。我々ディセプティコンこそ正義なのだ。何が正義で何が悪か。それは誰にもわからない。そんなもの、状況しだいで悪にも正義にもなりうるからだ。
「君は…」
「私は自分の直感に従ったまでだ、オプティマス・プライム」
悪か正義なんかこの戦争において意味をなさないはずなのに、それを持ち込むなんて愚かだ。勝ったものこそ正義、それが戦争における定義だと思わないのか?
「それでも私は…オートボットの司令官である限り、君たちディセプティコンを討とう」
「互いに己の正義は譲らぬ、か。面白い」
話し合いは終わりだ。
武器を取り合い互いに向ける。
「メガトロンの野望は阻止する!」
「メガトロン様は私が守る!」
己の正義
(例えそれが非道だとしても、掲げるものは正義だと言おう)
‖後書き‖
シリアスにしたかったのに、どこで間違えたかな…