策士に注意

※BL要素強め



「ソレデ、コウスレバヨ」
「なるほど、助かる」
「良イッテ」

持つべき友はなんとやら、でも本当に助かった。うっかりサウンドウェーブから借りていたものを壊してしまい直すのに手間取っていると、ちょうど良いタイミングでフレンジーと出会った。
ニヤリと嫌な笑みを浮かべていたのだが、案外親切に直すのを手伝ってくれた。あれは気のせいかな?

「デ、オ前ニ相談ガアル」
「ああ、なんでも言え。手伝ってくれた礼だ」

相談とはなんだか可愛いなものである。もしかしたら変な要求でもしてくるのではないかと心配した私が馬鹿だった。フレンジーに向き合うと言うべきか言わないべきか、と迷っている。それほど深刻なものだろうか。

「実ハヨ…」
「……は?」

恐る恐る発声回路から出された言葉に呆れの二文字がブレインに浮かんだ。これは、なんというか。

「良イダロ?レーザービークモ困ッテンダ」
「だからと言って、なぜ私が…」
「壊シタコトヲ言ウゾ?」
「…わかった」

脅しじゃないか、と項垂れるもこれは自分の招いた結果なのかもしれない。他の奴はどうしたと、聞けば逃ゲ出シタと言われた。仕方ない、言われた通りにやるか。重い腰を上げて奴の部屋へ足を進める。
メガトロン様さえ行くことを拒むなんて、苦笑するしかない。奴の部屋の前に来るとやはりロックがかかっている。フレンジーに教えてもらった通りのパスワードを入力して中に入る。部屋は自分のよりも綺麗に整理整頓していて、殺風景だ。少しは家具を置けばいいのにと思うが余計なお世話だろうなと考えながら布団に潜り込んでいる奴の元へ歩み寄る。

「サウンドウェーブ、起きろ」
「……」
「無反応、か」

そう、フレンジーに頼まれたのはサウンドウェーブを起こすこと。完徹ばかりしているせいかその反動で何日も寝ていることがあるのだが、さすがに会議のある日は起こさなくてはならない。かわいそうだから寝かしてやれ、なんてそんな甘いことは言えない。

「起きろ、もうすぐ会議だ」

肩を揺らしても起きやしない。だが、反応なしはまだいい方だ。

「サウンドウェーブ、起きなければ…っ!?」
「起きなければ…なんだ?」
「…狸寝入りか?」
「なんのことだか?」

ああ、やられた。用心していたはずなのに。
伸ばした手は相手に掴まれ寝台に引きずり込まれた。実はこれ、サウンドウェーブが寝ぼけている行いその1だ。しかも組み敷かれるため男として微妙な気持ちになる(ブラックアウトなど)と言っていた。私は元は女だから少しは耐性がついたが、ヤバイ状況というのは変わりない。

「起きろサウンドウェーブ」
「起きている」
「嘘をつくな、まだ起動音を聞いていない」

駄々をこねるガキのようだなとため息をつくが、相手はそんなのお構いなしだ。ああ、きた。組み敷いてきた後の行動その2、触手を機体に絡ませる。くすぐったい。

「はぁ、だから来たくなかったんだ」

頭を抱えても仕方ない。相手は寝ぼけている、悪気はないんだ…多分。

「っ!? おい、ふざけるな!」

触手の一つが、敏感な回路の周密しているところに触れた。こんなところ意識しなくては触るはずがない。まさか。

「起きてるなサウンドウェーブ」
「ああ、だから言っただろ?」
「なら離せ、会議がある」
「固いな、少しは楽しむことを知れ」
「断る」

言葉に比例するかのように触手が強く絡まる。ああ、だからこいつの部屋には来たくなかったんだ。






策士に注意
(様子を見に来たメガトロン様に助けられた、危機一髪だな)





‖後書き‖
あれ、音波さんが変態風味になった
どこで間違えたんだろ


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