とばっちり

どうしてこうなった。
部屋には保管されている卵があり、それをスタースクリームが懸命に検査している。自分はさっきまで宇宙サビの抗体を作れないか研究していたはずなのに、おかしいな。

「おい、早く手伝え」
「…わかった」

でもここまで真面目なスタースクリームを見るのは久しぶりなためか、やや上から目線でも許してやることにする。
卵はオールスパークがなくとも少しは出来る。そのつくり方は極秘なわけで、他言無用となっている。知っているのは参謀とメガトロン…様とドクターだけだ。そしてスタースクリームがその卵の管理を任されている。
卵は大事だ。次代のディセプティコンとなり後を継ぐものがいなければこの戦争も意味がなくなる。

だから忍耐強いものが卵の世話を任されるのだが、スタースクリームはそうなのだろうか?とふと疑問に思ったことがある。短気で無駄に野心があり変なところでずる賢いやつというのが私の見方だ。裏切りがないだけまだましとも言える。
ゆえに心配だと数百年前にメガトロン様に進言したことがある、だが笑ってこう返された。

あやつはお前が思っている以上に忍耐強いぞ、と。

確かにそうだった。なんであんなこと思ったんだろ昔の私よ。
スタースクリームを過小評価していた。まさかこらほどまで卵に愛情を注ぎ、ディセプティコンのことを想っているとは…。
そう思い出したのは何度かスタースクリームの手伝いをしていたからだ。手が離せない時によく私やブラックアウトに世話が回ってきたのだがそのときの卵の世話について詳しく話されたときはもう唖然ものだった。

ブラックアウトは終始固まっていたらしいが私は感心してしまった。思わず頭を撫でると低い声でスクラップにするぞと言われたが怖くなかった(卵にデレデレだったためだ)。
ゆえに卵好きの親バカと周りに知れ渡っている。そう流した本人は悪評のつもりで言ったつもりらしいのだが、スタースクリームからしたら誉め言葉のようでさして気にしていとまころか、周りもからかうどころか応援までしている。卵は大事だということがどれだけわかるか、それを物語っている。

「変化は見られない、大丈夫じゃないのか?」
「宇宙風邪が流行り出す時期だ、油断はできん」
「そうか」

宇宙風邪は成体にとってはワクチンを打つだけで二三日すればおさまるのだが、幼体からしてみればまだ抗体ができていないためすぐに亡くなるというケースが後を絶たない。
だからその些細な変化を見る。今それを手伝わされているわけだが、私が見る限りその兆候はない。だがスタースクリームは神経質なのか知らないが細かく見ていっている。本当、忍耐強いというか神経質というか…見果てた根性と愛情だ。

「よし、変化は見られないな」

だから言っただろ、という視線を向けるのだがスタースクリームはそれを無視してなのか気づかないのか、まぁこの際はどうでもいいか。満足そうに笑うスタースクリームを見ているとなんだかこちらも嬉しくなった。

まぁ、これなら毎日手伝ってやってもいいなと思ったのは内緒だ。







とばっちり
(俺が留守の時はお前に任せてやる)(…そうか)




‖後書き‖
スタースクリームは卵大好きってイメージしかないからこうなった
後悔も反省もしてないヨ



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