好きなものは

研究に没頭することは別に嫌いではない、むしろ三度の飯よりも研究!と言ってもおかしくはない。
色が怪しい薬品片手に含み笑いしてたまたま入ってきたディセプティコンの一般兵を怖がらせたことだって何度もある。これはもう諦めの境地に入ってしまった。
つまり、何を言いたいかと言うと私は研究が大好きなのだ。

「だからと言って、一年も籠る奴がいるか」
「ここにいるじゃないか」

録に食事もせず、顔も見せず、会議にも参加しない。これじゃあダメだとディセプティコンのリーダーであるメガトロン様が痺れを切らしてサウンドウェーブに引っ張り出すように頼んだらしい。こちらとしてはありがた迷惑なのだが、あちらにとっては重要なことらしい。全くもって悪いことしたとは思わなかったな。

「研究もいいがオートボットを破壊する策でも考えろ」
「そうは言うが、まだこちらが優勢だろう。その時がくるまで私は自由にしたいのだが」
「お前は…」

呆れられたのは仕方ない、事実を言ったまでだから。本来なら昔のようにどこかの惑星でも支配してゆったりと暮らしたいというのが本音だ。だがそこにメガトロンが侵略してからいろいろと事情が変わったものだ。
いつのまにかメガトロンのライバルと呼ばれ、情が薄い性格(ある意味あってる)と言われ、研究する場を与えられディセプティコンに入ったのだ。

まぁ、正直殺す勢いで相手をしたのに五分五分で終わらされたのは気にくわなかったが…と昔サウンドウェーブに話したら渋い顔をしてきたのを今も覚えている。

「お前は研究意外何かないのか」
「お前がそれを聞くか?」

長年の付き合いであり、友と呼ぶには少しおかしい関係ではあるが他の誰よりも互いのことを知っているはずなのにこのセリフ、思わず笑ってしまった。
笑われたことにオプティックを細めるサウンドウェーブを横目に、解析の終わったウィルスを数種類分けて小瓶やデータに保存する。
これで半年も費やした研究は終わったが、残り半年の成果はまだ見えずにいる。

それに取りかかろうとすると下からドリラーが顔をだし、構ってと体を揺らしているではないか。

「よし、少し遊ぼうか」

サウンドウェーブから驚いたような声が聞こえたがそれを無視してドリラーのそばに寄る。飼い主に従順な犬のようになついてくるドリラーに長年の疲れを癒してもらい、その褒美にエネルゴンを加工して作ったクッキーを与える。

「…研究はどうした」
「後回しだ」
「即答だな」
「ドリラーの方が大事だからな」

むしろドリラーを後回しにするなんてあり得ないと言うと、ドリラーは嬉しさのあまり優しく体に巻き付いてきて、サウンドウェーブは呆れたように小さく排気した。
私の親バカは筋金入りだって?やだなぁ、そんなに誉めないでよ(誉めてない)。

「とにかく、明日は会議だ。必ず来い」
「ああ、わかった」

生返事をするともう諦めたのかなにも言わず部屋を出ていった相手を確認するとドリラーの頭を優しく撫でてやる。
ああ、やはり可愛いな。

「大好きだよ、ドリラー」

(自分なりに)微笑むと嬉しいのかご機嫌な鳴き声を出してさらに体を締め付けてくるが苦しくはない。これが愛情表現と知ったのは出会って間もなかったな、と昔の記憶に懐かしく思いながら研究よりも大事なドリラーと戯れることにした。




好きなものは
(やっぱり一番はドリラーだな)





‖後書き‖
劇場よりも饒舌な夢主ができちゃった(ゝωσ)てへぺろ☆ ←
機械ヒトのイメージ的にドリラー大好きっ子なら萌えるな、と思ってそうなりました。あれ、文おかしい?気にすんな!


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