臆病な子こそ可愛い

どうしよう…。
サイドウェイズは困っていた。デモリッシャーに頼まれて資料を届けるだけの簡単な仕事ではあるが、渡す相手が問題だった。
ショックウェーブ、それはサイドウェイズにとって未知な存在と同じであった。

あの情報参謀や航空参謀と同じくして肩を並べる…いや、頂点に立つメガトロンとさえも同等と言わしめるあのショックウェーブはもはやサイドウェイズにとって恐怖の対象にしかならない。実際に会って話したことはない。しかし臆病ゆえなのか話したいとすら思ったことがなく、会いたいとも考えたことがなかった。

だからこそ困っている。デモリッシャーの頼みとはいえ恐怖対象の彼に会うにはどうしたらいいのか。誰かに頼みたいほどのことだが、あいにく知り合いは任務をしており頼める者は誰一人いない。
実はデモリッシャーはそれを狙っていた。
いつもべったりくっついてくるサイドウェイズを邪険に思ったことは一切ない。しかしこれではいけないと思い積極的になれるよう仕向けたのだ。

そうとは知らずサイドウェイズはショックウェーブの部屋の前で狼狽えていた。

「うぅ…なんでこんなことに…」

今にも泣き出しそうになりながらも書類を落とすまいと握り締め、入るか入らないかうろうろしていると、いきなり部屋の扉が開いた。

「え…」
「……サイドウェイズ?」

出会ってしまった。あのショックウェーブに。
サイドウェイズはその場で動かなくなってしまった。















いつ通りに研究に没頭しているとドリラーが騒がしい。向き合い話を聞いてみると部屋の外に誰かいるらしい。誰か、と聞いてもわからないの一言。仕方ない、自分で確かめるか。

それにしても外にいるなら早く入ってこればいいのに…、そう思いながら扉を開けるとそこには…。

「……サイドウェイズ?」

なぜここに…と問いかけたかったが、何が怖いのか私の顔を見た途端固まって動かない。これは本当に重症だなと苦笑いしながら大丈夫か?と体をゆすってみる。

「えっ、あのっ…デ、デデデデデモリッシャーがこ、このし資料を…!」
「ああ、わかった。だからゆっくり話せ」

体を触られさらに同様したらしく大慌てで話す相手になんかキュンときた。なんだこの生き物、可愛い。

「こ、これ。ショックウェーブに」
「ああ、探査結果か。ありがとう」

素直に礼を言うと信じられないものを見るような目でこちらを見られ釈然としない気分になるが、相手が私を苦手としているなら仕方ないかと言い聞かせる。

「じゃ、じゃあ」
「またな」

ぎくしゃぐしながら帰るサイドウェイズに微笑ましそうに見送り、渡された資料を読むことにした。









臆病な子こそ可愛い
(母性愛が出そうなくらい、な)










‖後書き‖
ウェイズって臆病で可愛いよね、というのを書きたかっただけ

恐らくこのあとサイドウェイズはデモリッシャーにあることないこと言いそう


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