最近サウンドシステムたちの様子がおかしいと思うときがある。いつものように歌の調教や歌詞つくりに没頭していたら視線が必ず俺に向く。振り返れば視線が外れるのだがまた作業に没頭すると背中にまた視線を感じるのだ。どうかしたのか、と聞けば何でもないと必ず返ってくるため深く追求できない。
俺がなにかしただろうか?いや、何もしていないはずだ。普通に大学行ってあのクソ教授と口論になって親友と飯食ったりして、いたって普通だ。何の変哲もない。なのにこの熱い視線はどうしたというんだ。もう一回聞いてみよう



「……何か俺に言いたいのか?」
「…」
「…」



ほら、だんまりだ。いい加減イライラしてきたぞ。



「ああ、そうかよ。じゃあ歌作り止めるからな」
「え、マスターそれ酷い!」
「約束ダロウ」
「だってよ、お前ら最近おかしいじゃねぇか。なのに何も言わねぇんだぞ、いい加減イラつくんだよ」



言うこと言い、さっさと自室から出ていく。出て行ったのは良いがやることがなくなりちょっと後悔するが後の祭り。仕方なくリビングのソファーに腰を下ろしあいつらが本当のことを言うのを待つしかない。もし俺に関係あることなら遠慮なく言えばいいと思っている。結構長い付き合いだし、わがままくらいは聞いてやりたい。まぁ、俺のできる範囲なんだけどな。



「…マスター」
「覚悟ヲ決メタ。聞イテホシイ」
「え、ああ…おう、いいぞなんでも言え」



しばらく(あそらくそんなに経ってない)してから2人がリビングに入ってきた。真剣な雰囲気を纏っているためなんだかこっちまで緊張してしまう。



「で、原因はなんだ」
「えっと、それなんだけど…。マスター驚くからさ今まで言わなかったんだよね」
「逆ニ困惑サセテシマウト思ッタカラダ」
「困惑?いったいなんだよ」


「マスターのこと、好きなんだ」
「俺モ好キダ。これは友愛ジャナイ、恋愛感情デ言ッテイル」


「…は?」



これはいったいどういうことだ。恋愛?友愛とかじゃなくて?ありえないだろう。だけど2人の目は真剣で、冗談ではないことがわかる。



「い、いつ?」
「一目惚れ」
「俺モダ」



頭が痛くなってきた。
まさか人間でない、しかも男に好かれるとは思っていなかったからだ。でも、これであの視線の意味が分かった。しかし分かったところで解決策が思い浮かばない。ここはとりあえず。



「…保留でいいか?」
「へ?」
「ナンダト?」
「いや、だってよ。俺混乱してるし…冷静にありたいんだよ」



実際はこの状況を少しでも早く抜け出したいための言い訳だが、納得したのか仕方ないと渋々といった体で了承してくれた。



「考えといてねマスター」
「俺タチハ本気ダカラナ」
「あ、ああ…」


一時は凌いだが、次どうなるかわからない。覚悟はしておこう。
そう考えていたはずなのに、後に行われる2人の激しいアプローチに、今のスタースクリームは知らない。











焦ってマスター




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