なんということだ。この俺が風邪を引くなんて。
まだ残暑の残る9月だというのに油断した。喉が痛い、頭も痛い、熱は39度と高めで大学にいけるはずもなく休んだ。ノートが心配だがあの白い巨体の友人がなんとかしてくるだろうと思いベッドにもぐりこむ。
いつもはうるさいサウンドシステムたちは今日は強制終了させている。そうしなければ赤いほうがいつまでも騒いで頭に響くのだ。青いのは物静かだが嫌味を言ってくるから2人とも、なのだ。



「寒い…」



また熱が上がってきたのかもしれない。
身体は寒さで震えているのだが熱があるため息苦しい。額に乗せた氷水はすでに解けておりぬるくなっている。変えたいのだが起き上がるのもだるく、このぬるさに不快を覚えながらも眠りにつくことにした。















どれくらい時間が経ったのだろう、まだ気だるさは残るも熱は引いているのか息苦しいことはない。額に乗っている氷水が心地よい。
と、また眠りに落ちる前におかしいことに気づく。寝る前にすでに解けていた氷水がなぜ額の上に乗っているのか。重い体を起こしてみるとすぐに答えがわかった。



「なんでいんだよ…」



ベッドの縁に腕をおき、それを枕として寝ている2人の姿。
強制終了したはずなのにどうしてこうやって動いているのか分からないが、どうやら相当心配してくれたようだ。額や首回りの汗は丁寧に拭われており、冷たい氷水のおかげで熱は下がっている。この2人がいなけえば今頃まだ高い熱にうなされていただろう。



「ありがとな」



滅多に言わない感謝の気持ち。今だけ素直に言えたのは熱のせいかもしれない。2人の頭を撫でていると赤いサウンドシステムが起き上がる。



「ん、マスター起きたの?」
「んだよ、起きたのか」
「んー、だって心地よい手の感触があったからね」
「そうだ、起きたついでにシャツとってくれよ。汗で気持ち悪いんだ」
「りょーかい」



ブロードキャストがシャツを取りに行っている間上着を脱ぎそれで汗を拭う。寝苦しかったから結構な量の汗がシャツに吸い取られ、絞ったら出てきそうなくらい湿っている。ふとサウンドウェーブのほうを見ると、なんと起きているではないか。柄にもなく驚くと無言でタオルを渡された。なるほどこれで汗を拭けということか。


ありがたくタオルで上半身を拭いているとシャツを持ってきたブロードキャストがこちらを見て固まっている。ついさっきサウンドウェーブがしたように。



「…なんだお前ら」
「え、あ、いや何でもないよマスター」



ぎくしゃくしながらシャツを渡してきたブロードキャストに首を傾げながらも新しいシャツに袖を通しベッドに横たわる。



「てか、お前らなんで起動してんだよ」
「サァナ」
「愛の力だね!」
「あーはいはい、そうかよ」



ブロードキャストの言うことは無視して布団を首元にもってくる。熱が下がったとはいえ油断しているとまた上がるかもしれないからだ。


「オヤスミ、マスター」
「おやすみー、いい夢を」
「…おう」


サウンドシステムたちの声を聞きながら目を閉じる。すると眠気はすぐに襲ってきて深い眠りについた。明日風邪が治ったら2人に構ってやろう、そう思いながら









風邪っぴきマスター




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -