スタースクリームは疲れていた。昨日の夜大学の先輩に誘われお酒をあおり限界まで飲んできたからだ。得意というわけではないが、それなりにたしなむ程度に飲んでいたはずなのに先輩の勧めを断れず結構飲んでしまった。


ゆえに今こうしてベッドに倒れこみ昼になっても起きてこないのである。それを気にしたサウンドウェーブが1人部屋に入り込みベッドに腰掛ける。ブロードキャストは朝からはしゃぎすぎた結果充電を行っているためここにはいない。後1時間くらいは動けないだろう。
それをいいことに眠っているスタースクリームの頭を撫でる。黒いふわふわのねこっ毛はは心地よく、ほどよく焼けた肌はなめらかだ。鮮やかな赤い目は今閉じられているが長いまつ毛が魅力的だ。


邪魔が入らないこの時をどれほど待ち望んだだろう。
いつもはうるさいイカレサウンドのせいでマスターに触れられず歯がゆい思いばかりしてきた。この想いに気づいたのはつい最近だがスタースクリームに教える気はない。教えたところで自分のこの気持ちに答えてくれるとは思わないからだ。だけど誰にもやりたくない、マスターは俺だけのマスターでいい。


口元を覆っている服をよけ、スタースクリームの唇に自分のそれを重ねる。
触れるだけの簡単なキス。これほどスタースクリームのことを想っているのに気付かないとか、と嘆くが鈍感なのは前々から知っていたのでため息をつきながら離れる。そして起きていないか確認しそっとベッドから離れる。


もう少ししたらうるさいイカレサウンド来るだろう。その前にここを離れなければマスターの迷惑になる。普段は自信過剰で皮肉屋で、それでいて寂しがり屋の彼の負担にならないように部屋からそっと出た。


リビングに戻れば起きて頭痛を訴えるだろうと考え水と二日酔いの薬を用意する。その時丁度充電が終わったのかブロードキャストがリビングに入ってきた。



「それ、マスターに?」
「…アア」
「面汚しにしては結構気がきくじゃん。じゃあ俺っちは適当に飯でも作ってやろうかな」



このイカレサウンドも、そうだ。マスターのことを想っている。捨てられたのに拾われたことでそういう想いを抱いたらしい。それを歌にのせてマスターに言ってるのだが気づいてもらえないのがいい気味だ。



「あー、頭痛ぇ…」
「起キタカ、コレヲ飲メ」
「ん、サンキュ…」



少し触れあった手、それだけでも俺は歓喜し今すぐこの想いを伝えたい衝動にかられる。もっとマスターに触れたい、もっとマスターのそばにいたい、もっともっと…スタースクリームとともにいたい。



「ほらマスターお粥」
「え、お前作ったのか?」
「まぁね、俺っちにできないことはないよ」



嘘をつけ。ご飯を作ることが出来ても洗濯や掃除はなかなか出来ないくせに何を言う。

スタースクリームは興味なさそうにお粥を食べていくのを見てざまあみろとまた心の中で呟く。


ああ、願わくばマスターが俺たち以外の者に見向きしなければいいのに。









愛しいマスター



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