長き願い

牢屋の中に年万年もいるというのは案外疲れるものだね。
外に出れないから余計にだけど、本が入れ替わりするのはなかなかだと思う。

そんな快適とも言えるような牢屋暮らしに面会要請があったらしい。こんな私に面会するなんて…というか地位の高い人じゃないと会えないとはずだから誰なんだろうと内心首を傾げながら面会場所まで手錠を付けられた状態で歩いていく。
案内された場所に入れば見たことのあるようなないようなトランスフォーマーが座っていた。説明によると50年程前に情報長官になったロングアームというそうだ。

…ロングアーム?
そんな、まさか。50年前とか言われれば信憑性がありすぎる。だが、どうして私になんか会いにきたのだろう。
不思議に思いながら彼と対面する。うん、人当たりのよさそうな顔だ。

「初めまして、私はロングアームといいます」
「丁寧にどうも。私はスカイファイアー、こんな罪人に会いたいなんて…君は変わってるね」
「自分でもそう思います」

にこにことしているけど、完全に腹の探りあいになってる。どうしてこうなったんだろうね? 私としては伊達に長いことトランスフォーマーやってるんだから早々に手の内を見させるわけないけど、相手はあのショックウェーブだし…どうするべきか。
そう考えているとショックウェーブもといロングアームが見張りを外に追い出した。何がしたいんだろう。

「外に出しても良かったのかい?」
「ええ、私は貴方に聞きたいことが山ほどありますからね」

にっこり笑ってはいるが目が笑っていない。それどころか額にある本当の目が怪しく光る。これはもうスタースクリームに事情を聞いているってことでいいのだろう。

「ふふ、何を聞きたいのかな?(スタースクリームから聞いたの?)」
「最初に、ですが。あなたは何故裏切ったのですか?(…知ってるのか)」
「さぁ、なんでだろうね(まぁね。それで要件は?)」

にこやかに会話をしているだけで、外にいるオートボットからしたらなんともないのだが、実は腹の中で会話をしている。なぜできるかはこの際おいといて…。

以下腹の中での会話…

「メガトロン様がお前に興味を持っている」
「へぇ…でも残念だね。私はここから出ることが叶わない」
「それも後少しで終わりだ。メガトロン様がサイバトロン星を掌握すればお前は自由の身となれる」
「それは嬉しいけど、スタースクリームがいなければ私は動かないからね」
「…なに?」
「約束したんだ」

ただの約束。ショックウェーブ…君はそう笑うかもしれない。だけど私たちにしたらとても長い約束なんだ。それを今こそ守りたい、ただそれだけなんだ。

面会時間が終わりまた牢屋に入れられる。
これからまだ会ったことのないオプティマスや、あのメガトロンが争うのだなと思うとそれを見てみたいという欲が湧いてくる。知っているからこそ、だと思っておこう。

簡易なベッドに体を横たわらせスリープモードに移行する。ああ、早く君に会いたいよスタースクリーム。












長き願い
(まず会ったら嫌というほど君を抱き締めよう)









‖後書き‖
少しギャグ入れてみた
センスが皆無なんで許してね


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