取り引き

いきなり牢屋に現れた小型ロボットを褒めているとそれから知った声が聞こえてきた。しかも私をスカウトしにきたという、ショックウェーブが私の情報を漏らしたのはわかるが…なぜ?

「私を? 私はオートボットだよ」
「だが裏切り我らディセプティコンに降ろうとした」
「それは…彼がいるから」
「やはりスタースクリームか」
「情報が早いね」
「奴のクローンがお前のことを話したのでな」

クローン、なるほど彼らがスタースクリームから何か聞いていれば自然と情報は掴める。でも、そこにスタースクリームはいないんだね…。

「スタースクリームは…」
「ここにはおらん。あの愚か者なら地球で姿を消した」

ああ、やはりそうなのか。聞きたくなかった、だが信じたくない。どこかでスタースクリームは生きている。そう思わなければ私は狂いそうになる。

「私はここから出られない。スカウトしに来て悪いんだけど、引き取ってもらえるかな?」
「あら、もしかしてあなたスタースクリームが死んだと思ってるの?」
「…誰かな」

この声は知っている。スリップストリームだ。スタースクリームのクローンの中で唯一女性のトランスフォーマー。しかし、先程の言葉は一体どういうことだ。

「私はスリップストリーム。ねぇスカイファイアー、スタースクリームなら地球で生きてるわよ」
「っ本当かい!?」

思わず大声を出してしまい外の見張りに怪しまれたが、読書のことで誤魔化したらあっさり身を引いてくれた。危ない危ない。

「どう? ここから出てあなたの愛しいスタースクリームを迎えに行きましょうよ」
「…私にその力があるなら、今すぐにでも力になるよ」

なんだがまんまと口車に乗せられたような気がするがこの際気にしないようにしよう。今はスタースクリームが生きていることが最優勢だ。彼に会えるならどんなに困難なことでもやってのけれるような気さえするから。

「ならば我の処刑日、一ヶ月後に実行だ。その間体力を温存しとくと良い」
「……わかった」

私は本当にわかりやすいトランスフォーマーだ。彼が無事だと聞いていきなりやる気をだしてしまうのだから。でも、仕方ないよねもう少しで君と一緒にいられるんだから。
だが、問題は見張りのいる扉だ。大型トランスフォーマーのスカイファイアーですら開かないこの扉は何重にも重ねて作った合金のものだろう。これは体力を温存していても開けることは不可能に近い。ならば扉ではなく天井を見上げる。
天井は扉より厚くはないが薄くもない。だがこれぐらいなら脱出できることは入る前にスキャンしたから確認済みだ。

しかけるのは一ヶ月後。
それまでクローンたちと話でもしようかな。












取り引き
(それまで私は力を貯えておくよ)










‖後書き‖
さぁ、次回はやっと脱獄だぁ!


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