トリグラフにも雪は降る。少し水っぽい重たい雪。エレンピオスのいつも灰色がかった空と相まってこの時期のトリグラフは白い雪と灰色の空と雲しかない。なんとも寂しい色合いだ。冬は指先が冷たくなって、痛くなる。

なんとなく、デートしようよとルドガーを誘ってみたのはいいんだけれど、生憎無口なルドガーとのデートは町のあちらこちらで見る楽しそうなカップルより冷めたものだった。終始私の独壇場、マシンガントーク。しかし、そのマシンガンも数時間たてば玉は尽きるもので、マンションまでの帰り、ついには私さえも無言になってしまった。寒い上に無言。苦痛でしかない。ルドガーと手を繋ぎたくて出していた手をとうとうポケットにずずいとし舞い込む。誘わなきゃよかったなんて思いながら、ルドガーの横を歩く。存外おしゃれさんな彼はお気に入りだと言っていたモノクロのフラッグチェックのマフラーに顔を埋めていた。全部白髪になっちゃえばいいのに。

「・・・寒。」

ぽつりと私の口からもはやくちぐせとなった言葉が零れる。その瞬間左ポケットに重みを感じた。ポケットに突っ込んだままの手がルドガーの手によってつつまれていく。ルドガーの手は私の手よりとても温かく、温度の差で熱く感じるぐらいだった。驚きのあまり無言でルドガーを見つめるが当の本人は何のその。なんだか私は悔しくなって、左手をルドガーの長い指と絡める。そうすると強く握り締めてくるもんだから心臓がバクバクと脈を打ち、熱くなった顔の血が身体中に拡散される。ドキドキしてる自分とか余裕そうなルドガーにムカついて目一杯手を握り締めてやったら、フラッグチェックのマフラーの奥で鼻で笑う音がした。

うるさいばか!!!



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