なんでもあの娘は遠い遠い未来から、私たちの要らない未来から来たそうだ。主人達はあの娘がとことん白く、真綿よりも新雪よりも白く見えるらしい。刀を見て震え出すのも、血を見て泣き出すのもこの世のおなごと一切変わら無いではないか。しかし主人達はほだされている。あの用心深い長までも。あの娘は奇術でも使うのか?不思議である。

「なつめちゃん!」

不思議である。仮にも女である私がおなごに好かれたいなどと思う、いやはや。あの娘の笑顔を見るととてつもなく嬉しく思うし、泣き顔を見るととても悲しくなる。忍として棄てた感情が戻るのだ。それは人を棄てた私にとって、とてつもなくむず痒く、喜びでもあるのだと理解する。しかしその理解も一時だけ。彼女が離れればその思いは霧散し、私は平生に戻る。不思議である。その感覚は長も体感しているらしく私と同じように首を傾げている。探りを入れようにも彼女に近づけばその疑念は形を変える。彼女と共にいる幸村様に探りをいれようも主人はすでに疑念などとうに棄て、主人らしからぬ恋など愛などに漬かりきっている。彼女が来てから何かがおかしいと私の脳が告げる。しかし、彼女が盆にきんつばと茶を二つ持ち、お茶しようよ、と笑えば私の悶々とした思いは消えてしまうのである。





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