本日も相変わらずうんざりするほど空が青い。
これでもかってくらいに爽やか感を漂わせやがって。
そんなことを頭の中でぐるぐる考えてみる。

「あーもーめんどくさい」

口に出してみたら余計に倦怠感が募ってきた。
ぐぅと腹の音が情けなく鳴って、無気力な状態でもお腹は減るらしい。
人間ってよくできてるもんだなあんてぼんやり考えてみる。
だからなんだというわけでもないんだけど。
もうすこしで3限の授業が終わる。
今ごろ他の生徒たちは狭い狭い箱の中で教師から退屈な知識を詰め込まれてぐったりしていることだろう。
ふわり、と風がオレンジ色の髪を揺らす。
こうして誰もいない校舎の非常階段でひとりぼんやりしているあたしは勝ち組ね。
それにたまにはこういう息抜きも必要。
とはいっても、あたしの場合は「たまに」ではなくて「いつも」といった方が正しいか。
1学期早々からこんな調子だとまあすこしは自重するべきかなとは思うけど、教室というのはどうも息苦しくて好きになれない。
自分で言っちゃうのもアレだけど、あたしは顔はけっこうイケてるし成績優秀でスポーツもそれなりにできるしたくさん友達もいてそれなりに快適な環境に身を置いていると思っているけど、いつも何かが欠けている気がする。
なにかこう、パズルのピースがひとつ足りないというか。もやもや。
これが思春期ってやつか、ということで誤魔化してみる。
そんなくだらないことを考えていたら、キィっと控え目な音を立てて扉が開いた。

「あら先客?」

すこし低めの落ち着いた声が聞こえたから振り向いてみれば肩の上で切り揃えられた黒髪の長身の女がニコニコ笑っている。
あれ、名前なんだっけ。
たしか今年から入った先生だった気がする。
えーと教科は歴史だったっけか。
思い出そうと記憶をたぐり寄せていたら、

「あなたはたしか、2年B組の子よね。ナミさん、だったかしら。」

「…なんであたしの名前知ってるの?」

いきなりほとんど面識もない相手から自分の名前名前が出るとは。
思わずびっくりした。

「私の授業のときサボっていていないか、いても窓の外ばかり眺めているから自然と目に付くわ。
それに私は一応B組の副担任だから。」

そういってまたにっこり。

「別に先生だけの授業をサボっているわけじゃなくて、どの教科も等しくサボっていますから。」

なんだか恥ずかしくて言い方がぶっきらぼうになってしまう。
それでも相手はいきなりクスクス笑い出して

「それじゃあ何のフォローにもなっていないわ。」

そう言ってまた微笑んでコツコツとヒールを鳴らしながらどこかへ行ってしまった。
バタンと扉が閉まる。
他の教師とは違い、サボってたこと(ついでに規定よりよりもずっと短いスカート丈も)を咎めることもせずにただひたすらにっこりしていた女。
結局何しにきたのよ。謎すぎる。

キーンコーンカーンコーン

いきなりの訪問者に混乱してる頭に区切りをつけるように鳴るチャイム。

で、結局名前なんだっけ。










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