高杉と神楽


「オマエって、以外と温かいんだな。」

そんな事を言ってみても変わらない。変わらないのは2人の間の世界。こんなことを思う私はたぶん馬鹿げてる。

「…爬虫類だとでも思ったのか。」

背中に感じる感覚とか、熱とか、呼吸とか。意識すれば心臓が高鳴ってしまうのではないかと思う。
知られたくはない。

「私の中でのオマエは性格が冷たいから身体まで冷たいって思ってたヨ。」

皮肉をひとつ、ふたつ。

「想像に答えられなくって悪かったなぁ。」

くくっと喉を鳴らし笑う音が背中に響く。嗚呼馬鹿げているとわかっているのに、知られたくはないと意地を張っているのに。身体と背中をこうして預けているだけで全て見透かされているようだ。


昔、冷たい人が好きだと言った。

自分の高ぶる気持ちを押さえ込むにはちょうどいいと思っていたから。余分な熱を奪い取ってくれればそれでよかったのに。

「人間並で残念か?」

言ってみても変わらない。変わらない2人の間の世界。馬鹿げてる、こんなことを思う私は馬鹿げてる。

「…なんでだろ、温かいほうが心地いいネ。」

(たとえそれが修羅だとか、報われない約束であったとしても。)

「熱の吐き出し方ならいつでも教えてやるよ。」

笑う声が、揺れる背中が、何故かとても心地よかった。


温もりが後を追う


end
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