*キラとカガリ



じめじめと空気が湿気っている。梅雨入りしたと言われてからもう2週間も経つのだが、見事に毎日雨が降り続いていた。キラがプラントから久しぶりにこの地球に帰って来たというのに、雨に濡れるのと湿気の不快指数が上昇することが嫌で、何処にも行けずにただ、ただ屋内で静かに雨が止むのを待っていた。一緒に行きたい場所が沢山あるんだ。
地球でしか見られない本当の海の蒼さとか、一面に咲く花の絨毯だとか。
あれからこの国は、少しずつだけど変わってきている。それを証明したくて、たまらなかったんだ。


「早く、雨が止めばいいのに。」

降り続く雨に悪態をうつが、状況は変わる訳もなく、窓の外を見つめれば、雨音、窓ガラスに打ち付ける音、曇天の世界。

「でも僕は、こうして過ごす時間も好きだよ。」

飲んでいた紅茶の入ったティーカップを少し音を立ててテーブルに置いた後、ソファーの隣に座る私の肩に、キラはもたれ掛かって、ゆっくりと力を抜いた。彼の重みを感じる。

そう言われて考える。確かにこの家から二人出ない分、共有する時間は多かったのかもしれない。まるで今まで一緒に居れなかった時間を埋めるように。


「まあ、それもそうか。」

彼の言葉に共感し、もたれ掛かる頭の上に頬を寄せた。懐かしい香りがする。触れあった部分が徐々にじんわりと暖かい。じめじめとした感覚ではなく、優しい暖かさ。

「カガリがここで頑張っているの知ってるよ。」

目を閉じてその感覚に浸っていると、優しい声が私を包む。優しすぎて今にも泣きそうだ。込み上げるものを堪えていると、彼はまたひとつ優しさをくれた。



「よくできました。」

「…生意気だ。」

言葉を振り絞って、目の前にある頭を小さく小突いた。痛っ。と、そう言いながらも楽しそうな声が辺りの雰囲気を変えた。



雨宿り

(もし、雨が上がったなら、海を見に行こうか。)






end




梅雨の時期なので、雨のはなし。
かわいい双子がすきです


アンケートにてリクエストしてくださったカガリラブさま、ありがとうございました!



ありがとうございました
何かありましたら!






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