哲に告白された。
「待たせてすまなかった」
本当に申し訳なさそうに言う哲を見て泣きそうになった。
先に告白したのはあたしから。
2年の終わりの頃だった。
その時の返事はこうだ。
「今は野球のことしか考えられない」
わかりきってた事だったけど、悲しかった。
でも、哲は今まで通り接してくれたし、むしろ前より仲良くなった。
野球の試合だっていっぱい見に行ったし、哲が引退したとき、一緒に泣いた。
だからすごく嬉しかった。
哲は「俺たちのペースでゆっくり進んでいこう」と言ってあたしの頭を撫でてくれた。
そして、次の日。
付き合って2日目。
あたしは哲の部屋にいる。
「あ、の…哲?」
「む、どうした?」
「どうしたって…いきなりすぎない?」
「なにがだ?」
なにがって、この状況が!ですよ、哲さん。
あたしは哲の部屋にいる。
哲は、あたしの上にいる。
つまり…、押し倒されてる。
いや、付き合ったらいずれはこうなるとは思ってるけども!
まだ手も繋いでないし、キスだってしてないし、というか、昨日付き合ったばっかりだよね?
順番とか気にしてるあたしがピュアすぎるの?
いきなり哲の顔が至近距離にきてドキドキする。
天然だから?天然だからなの?
「いやか?」
「いや、じゃ、ないけど」
そう言うと哲はあたしにキスしてきた。
触れるだけの優しいキス…
ではなく、呼吸ができなくなるような激しく深いキス。
わかった。
なんであたしがこんなに戸惑っているのか。
思ってたイメージと違う。
勝手なイメージだけど、哲と付き合ったら、手を繋ぐのも半年、キスするのも1年とか掛かりそうだと思っていた。
「なまえ、好きだ」
「…あたしも哲が好き」
ま、いっか。
哲は哲だし。
お互い好きだっていう気持ちがあれば順番なんて関係ないよね。
うん、そういうことで、このあとどうなったかは、想像にお任せします。
はい。
END
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