豪炎寺は悩んでいた。とにかく悩んでいた。
なんせ恋なんてするのは生まれてはじめての出来事だったからである。ましてや相手は男。初恋の相手が男であるなんて悩まないほうがおかしい。
しかし、豪炎寺が悩んでいるのはそんなことではない。
どうやって自分の気持ちを伝えるのか、だ。
初恋の相手が男、というのは豪炎寺にとってはもうどうでもいいことだ。好きになってしまったものは仕方がない。
しかし相手が悪かった。豪炎寺の初恋の相手は円堂守。己の所属するサッカー部のキャプテンである。円堂はかわいい。とにかくかわいい。故に、モテる。しかも男ばかりに。だから安易に気持ちを伝えようものなら円堂を狙うほかの男に殺されかねない(まぁ返り討ちにしてやるだけなのだが)。
そんなわけで豪炎寺は悩んでいた。
「豪炎寺、どうした?」
しかも、円堂の隣で。
「な、なんでもない・・・」
そう、今現在、豪炎寺は愛しい愛しい円堂と帰宅中なのだ。
円堂がさっきからずっとサッカーのことを喋るに対して豪炎寺はずっともんもんとどうしようかと悩んでいたのであった。
「なんか最近よくぼーっとしてるよな。どうしたんだ?」
「なんでもない」
「顔もなんか赤いし、熱でもあるのか?」
「夕日のせいだろ」
「でも、」
そう言って円堂はさらけ出された額にぴと、とくっつけた。
「!!??」
「・・・熱はないなー」
心配しての行為なのだが、豪炎寺は真っ赤だ。
ちらりと円堂を見る。おおきな瞳も、くせっ毛も、なにもかもがかわいい。
そんなことを思っていると、自然と体が動いて気がつけば円堂に唇に、ちゅ、とほんの一瞬、口付けていた。
「・・・!!」
唇を離した瞬間に円堂が真っ赤になって唇をおさえた。豪炎寺はどこか冷静でそんな光景をかわいいとか思いながら見ている。とにかく幸せだったのだ。
「い、今、き、きき、き・・・す、し・・・た?」
「した、」
「・・・豪炎寺、おれのこと、すき、なの?」
そう問われて豪炎寺は少し頬を赤くさせ、こくりと頷いた。
すると円堂は顔を真っ赤にさせていきなり走り出した。
「お、おい円堂!」
いきなり走り出した円堂に豪炎寺はびっくりして走り出そうとしたが、もしかしてと思い留まった。顔を真っ赤にしたことから可能性は高い。というかほぼ決定だろう。
豪炎寺は嬉しくなってそのまま遠くなる円堂の夕焼けで赤く染まる背中を見送ったのだった。
夕焼けロマンチック
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こういう初々しいの大好き…!
希さん、ありがとうございました!
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