或る日の情景



  6月某日


彼女は自転車の漕ぎ出しを誤った。
タイヤが横滑りし、彼女はいつもあげない甲高い悲鳴をあげた。
まるで自転車はぬかるみを滑り落ちたようにふらつき、彼女は幾度か地面をつかむため足を伸ばしたが、ある運命的な予感のせいで、その足は地につく寸前にまたペダルへ戻っていた。
結局、自転車は倒れなかった。
彼女は一息ついて、軽やかに、力強く漕ぎ出した。
空は、雨でも降りそうな色だった。



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