目覚まし彼氏




「うぎゃああああ!」

何故朝っぱらから私がこんな大声を出すことになったのか、説明致しましょう。
朝起きて、横から気配を感じ左を見て見ると、何とこの船の船長が何故か私の布団ですやすやと寝息を立てているではありませんか。

「ル、ル、ルフィ!私の布団で何やってんのよ!」

「ん?ああ、ヒロイン!何って、ヒロインと一緒に寝てるんだ」

「いや、それは解ってるから。ななななな、なな何で私の布団に!?」

同様しまくって吃りまくりの自分。しかし実際何の問題もないのだ。だって、私達が付き合ってから早2ヶ月。
最初はもちろん皆には秘密にしようと念を押したのだが、このルフィが皆に隠し事なんて芸当はできる筈もなく、次の日にして皆にバレてしまった訳である。

まあ、そんな裏がない所も含めて私はルフィが大好きなんだ。照れくさくって、本人の前でなんて絶対言ってやんないけど。

「何って、ヒロインの隣で寝てると何か落ち着くんだ」

「だからって、びっくりするでしょ!いきなり…」

「それに、すっげぇいい匂いもするし」

「ん…、ちょ、ちょっとやめてよ!」

ルフィは仰向けからこちらに体を向けて、いきなり私を抱き枕にして包み込んで密着したと思うと、鼻を首筋に押し当てて匂いを嗅いできた。
ルフィの息が掛かってくすぐったい感覚というか、何とも言えない感覚が襲ってくる。

「それに、ヒロインは柔らかくてすっげぇ気持ちいいんだ」

「ん、やだ…ルフィ…変な所触るな、馬鹿馬鹿!」

ルフィはいつも突然、こういうことを何の気なしに不意に然り気無くやるから、恥ずかさとドキドキで、死んでしまいそうになる。


「ヒロインが、可愛いから悪りィんだ」

「な、何言ってんの!?いっつも変だけど今日は特に変っ……」

話しの最中に不意に口を塞がれ、いきなりルフィの暖かい舌が入ろうとしてくるから、恥ずかしくて咄嗟に侵入を拒もうとしても、無理矢理ねじ込んで口内をルフィでいっぱいに満たしていく。

「……んんっ、何?やだ…」

「悪りィ、今日は何か我慢できねぇ」

「え!?……あっ」

そう言って、ルフィが私の体全身に甘い口づけを落としていく。
きっと、いつも口では嫌だとかうるさいとか言う私の本音を、ルフィはちゃんと解っているから。




優しく甘く、そして少し荒々しい愛撫に満ちて、二人が一つになった時に

「ヒロイン…ヒロインっ、好…きだ…」

「私も…、大好きっ…」


そのまま、快感を終えたルフィは、私に上からもたれ掛かり、荒い息のまま私にいつもの可愛い笑顔を向けたと思うと、キスをした。

幸せで、嬉しくて。
私の中のルフィの好き度がまた増してしまった訳で


「馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿!朝から何なのよ!」

「だってヒロインが可愛いから悪りィんだぞ!」

「何よその屁理屈!」

「何だよー。駄目だったかぁ?」

「……駄目じゃない…けど。誰かに聞かれたらどうすんのよ!恥ずかしいでしょ!」

「そん時はそん時だ!」


本当にルフィらしい。私はこいつのこういう所に惚れたんだっけ。まあ、絶対言ってやんないけどね。

「よし、決めた。これから毎日ヒロインの隣で寝る!」

「な、なな何でよ!?やめてよ!」

「好きだからだ」

「キッパリ言うな!」

「ししし、大好きだぞ!ヒロイン」

「…………私も。好、き」

屈託のない笑顔を向けるあなたに言われると、つい本音がポロリと溢れてしまったではないか。恥ずかしくなって顔を反らすと、回り込まれて思いっきり抱き締められた。

そんなつもりはないけれど、端から見ればバカップルに違いない。





さて、早く明日にならないかな。

きっと目覚めれば横には



いつもの大好きな私の彼氏がいるんだろうから。





目覚まし彼氏
(ヒロインー…むにゃむにゃ)
(寝ぼけて私の頭をかじるな!)





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