再開の宴、再び
戻ってきた、
本当に戻って来れたんだ。
ただいま、サンジ。
「いつからこっちに帰ってきてたんだ?」
「んー、本当についさっきだよ?あっちでたまたま地震が起きてぇ、また一番最初の時みたいに突然頭が真っ白になって…」
あれからトモダチとどうやって地震を起こすか考えて、無駄にジャンプしてみたりしたけど駄目で(まあ、当たり前だけどね)諦めかけてたら本当に偶然地震が起こっちゃうんだもんねー。またトリップ出来た瞬間、お互い無言で顔を見合わせて、二人で真っ先に彼氏の元にダッシュした時は流石似た者同士だと思ったわ。
「とにかく早くあいつらにも知らせてやらねぇと!きっとすげぇ驚くぜ?」
「あ、それなら大丈夫だと思うよ?」
「ん?」
やっと再開できた幸せを噛み締めて、サンジの腕に手を絡ませてべったり密着しながら歩き、キッチンの扉を開いた。
はい、中は既にお祭り騒ぎ状態ですね。いや、主役そっちのけで皆さん盛り上がりすぎですから。
「おっせぇーぞヒロインー!うぃーっひっく」
「ちょっとウソップそれトモダチのお酒じゃん!」
「俺の酒やるからウソップに絡むな、アホ」
「やぁ〜んゾロやきもち?やきもちぃー?大好きーっ!」
「えー、それではここで再開の喜びを歌にして俺様キャプテンウソップ様が喜びの音頭を歌います」
「うぉー!ウソップカッコいいぞ」
「ちょっとあんた達うるさいわよ!」
「うっひゃっひゃっひゃ!今日くらいいいだろナミー。漫才師が揃ったー!早くこっち来いよぉ」
「ほら、ね?ふふっ」
「ははっ、本当だ」
サンジと顔を見合わせて二人で笑いあった。
あああああああもう!ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい幸せすぎてやばい超叫びたい!ていうかまじで発狂寸前なんですが。
さっきなんて、大人の女として再開したくて無駄に余裕かましてたけど心の底でどんだけ大発狂してたと思ってんの。
笑顔きゅん、まじ胸きゅん
やっぱりもう漫画だけじゃ耐えられないわ、もう。
「サーンジィっ!ヒロインはリン…」
「ストップ。リンゼフロだろ?ちょっと待ってろよ?」
唇に人差し指をあてられて、右手で頭をぽんぽん。ヒロインだけに見せてくれる柔らかいふにゃっとした笑顔。
やっば、全部久しぶりすぎてまじで吐血するかも。
「離れたくないからヒロインも一緒に作りに行くぅー」
「駄目だ、主役は座ってろ。いい子だから。後で二人っきりになった時に、嫌になるくらい愛してやっから覚悟しとけよ?」
「………は、い…」
きゃあああああああ
聞いた?聞きました?今夜は寝かしてくれないそうですよ?ちょっとぉー、まじでやばいって。心臓破裂するって。
「トモダチ、飲っみまーす!」
「お前何杯目だよ、大丈夫か」
「無理だよゾロ、こうなったトモダチは誰にも止められないって」
「それもそうだな」
ぷっ、何だかんだあのゾロが終始顔にやけてるし絶対嬉しいんだよ、あれは。
きょろきょろと皆の様子を見渡していると、ルフィとウソップがどこからか持ってきたのか、何故か頭にふざけて誰かのパンツを被っていた。
「ぶっ!何それまじ引くって!(笑)」
「ヒロインー早くお前も飲めよぉー!」
「まじ誰!やめてー!なんなの笑いすぎてお腹痛い!トモダチ助けてー!」
「ゾロォーゾロォー」
「うん、全然聞こえてませんね」
かつてこんなに盛り上がった飲み会があっただろうか。いや、ない。トモダチとの飲みはいつも楽しいけどこれは比じゃないくらい楽しい。どんちゃん騒ぎ、って正にこの事を言うんだと思う。
「はい、お待たせ」
「サンジィー、寂しかったぁ!」
「ごめんな。ほら、ここおいで」
サンジが膝の上をポンポンと叩いて誘導する。ぐはっ、萌える…萌える萌える萌える萌える!そんな事言っちゃったら今日は一日中そこからどけてあげないんだからね?
膝の上にちょこんと座ると後ろから優しく抱き締められた。ふわっとサンジのいつもの香りがして、無性にサンジの顔が見たくて上を見上げるとおでこにそっとキスをされた。
「おでこだけじゃ足りないもん…」
はい、ここでうるうるビームですよー。どんな男も一瞬で落ちるヒロインの究極テクニックその1ですね。
「………今は、まだ駄目」
「は!?ヒロインのビームが通用しな……じゃなくて!…何でぇ?」
「そんな可愛い顔、他の奴等に見せたくねぇ俺の気持ちも分かれよ…」
耳元で少し切な気にぼそっと囁かれて心臓が跳び跳ねた。あれ、理性が飛ぶのって女の子でもあるんだね。
今夜は久しぶりだし、まじで期待しちゃっていいですか?貴方にならヒロインの全てを捧げます、はい。
また周りをぐるりと見渡すと、今度はチョッパーとウソップがポッキーゲームをしている所だった。しかも超ノリノリで。
なにこの状況まじで、本当なんでも有りだね。
「ヒロイン、酔う前にちょっと外行こ?」
「あ、思った。サンジ、ちょっと席外すねぇ?待っててね」
「ああ、早く帰ってこいよ」
「永遠の別れじゃねぇだろ!」
外に行くだけなのにお互い頬っぺたにちゅーをして別れを惜しんでいたら、ウソップがお酒片手に突っ込みを入れた。
いや、つい最近まで永遠の別れの瀬戸際だったんだからこれくらい許して下さい。
トモダチと手を取り合ってキッチンの扉を閉めたのをしっかり確認してから、二人で顔を見合わせた。
「ていうか、さ…」
「「サンジ(ゾロ)まじカッコいいいいいいい!!!!」」
これもかなりのデジャヴだよね。そういえば、一番最初の時もこうやってトモダチと騒いだんだっけ。
トリップしたのがトモダチと一緒で良かった。だって一人だったらこの幸せを誰と分かち合う?誰に伝える?トモダチとだったから、こんなにも幸せを噛み締められるんだから。
「これ、夢じゃないよね?妄想じゃないよね?」
「んー、またつねってみる?」
またお互いの頬っぺたをつねりあって、確かな痛みを確認してから二人で笑みを浮かべた。
「痛い、現実だ…。またサンジと会えたんだぁ!幸せすぎるぅ……」
「痛くて喜んでるうちら端から見れば只の変態だよね(笑)」
「え、てか元から変態じゃん?」
「あっはは、確かに!」
トモダチと笑いあってまたキッチンの扉を開けた。全ての出会いは、ここから始まったんだ。
今夜の宴はまだまだ続きそうです。
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