出直してこい
「あー!このネクタイ超可愛い!サンジにプレゼントしよっかなぁ。ねぇトモダチ、これ可愛くない!?」
「はっ?ヒロインが男にプレゼントとかどうしちゃった訳?明日は嵐っすか?」
「まじ失礼だし(笑)」
だってサンジは特別なんだもーん。
今まで男にプレゼント何て買った事なんてないけど、サンジは特別だから。喜ぶ顔が見たいから。それにサンジはヒロインにベタ惚れだから、絶対絶対プレゼントしたら喜ぶに決まってる!
何て考えてたら遠くでトモダチの叫び声が聞こえた。
「ヒロイン!見て、この腹巻き!ゾロに似合いそう!可愛いよねっ?」
「えぇー…。そもそも腹巻き自体がヒロインには可愛いと思えないんですが…。プレゼントしたい気持ちは偉いと思うけど」
「はぁ、わかってないなぁヒロインは」
「え、何が」
「ゾロは腹巻きしてる所がまた可愛いんじゃぁぁぁぁん」
そう言ってトモダチは、まだ買ってもいない腹巻きを両手で愛しそうに抱き締めながら、遠い世界にいっちゃった。うちらこっちの世界に来れて憧れの人と現実の恋してんのに、妄想癖はお互い全然直んないよね。うん、うちららしい。
「それよりこっちのピアスの方が良くない?」
調度近くにあった、シンプルなグリーンのピアスをトモダチに渡した。
ピアスだったらいつでも身に付けてられるし、腹巻きよりは……マシだし…。
「ヒロインセンス良すぎー!ゾロはピアス三つ開けてるし、ゾロっていえば緑だもんね。超可愛いしコレにする!ヒロインありがとぉっ」
「ヒロインもネクタイ買うー」
「てか彼氏にプレゼントとかうちら超健気な彼女だよね」
「まじでねー。少し前のヒロインなら考えられないし」
「トモダチもー」
会計を済ませてから外に出たら、何か変な二人組がこっちに近寄ってきた。
「なあなあ、これから俺等と酒場で飲もうぜー」
「二人ともすっげぇ可愛いな!どこの島から来たんだ?この島の人間じゃあねーよな?」
ボサボサ頭にだっさい服、おまけにニヤニヤして考えることまるわかり。全てにおいて不潔っぽい。
うん、ゼロ点。
いや、うちらの事可愛いって言ってたしどうやら見る目はあるらしいからオマケで六点にしてやるか。
「はぁ…どこにでもいるんだね。こういう奴等。ねー?ヒロイン」
「まあ、まあ、トモダチ!うちらが可愛すぎるからしょうがないんだってば。罪な女すぎるぅー」
「まあ、とにかく────」
「「サンジ(ゾロ)みたいな男になってから出直してこいや」」
あ、やっぱ揃った。(笑)
「うける!まじ久々じゃない!?」
「うちら最高!口癖健在!アハハッ」
久々に口癖がハモってテンション上がったうちらは、昼ご飯を食べに行って、ガールズトークしまくった。
主にサンジのノロケ話とかサンジのノロケ話とかサンジのノロケ話とか。
むしろそれしかしてません
後はトモダチからゾロとの事を聞いたりした。ゾロの照れた顔が可愛いくて仕方ないとか、腹巻きから良い匂いがするとか訳わかんない事をノロケられた。
トモダチと居たら本当に時間が過ぎるのが早くて、あっという間に夕方。
「そろそろ戻ろっかー。愛しのサンジが待ってるしぃー」
椅子から立ち上がって船に帰ろうとしてトモダチの顔を見たら、あり得ないくらいニヤニヤしてた。トモダチのこの顔、絶対何か変なこと考えてやがる。
「何?どした?(笑)」
「………ねえ、トモダチ良いこと考えちゃったんだけどぉ…」
「何々!?」
「あのね─────」
「遅い」
「………」
「遅すぎる…ッ!」
「…………」
「何でさっきから無言なんだよマリモ!ヒロインとトモダチさんが帰ってこねぇっつーのに心配じゃねーのかよ!!」
「うるせーよ。お前が心配性なだけだろ。俺を巻き込むな」
「んだとテメェ!だってもう十時なんだぞ!?まさか………ッ!また危ない目にあってるんじゃねーだろうな!」
「まだ十時だろ。保護者かオメェは」
「マジでおろすぞテメェェェェ…ッ!!」
「あの二人、大丈夫かしら…」
「あ?」
「ロビンちゃん!」
「この島、女の子が少ないらしいわ。あの子達可愛いから、今頃………あら?剣士さん。顔色が悪いけどどうしたのかしら」
「…ッ!おい、探しにいくぞ。アホコック!」
「テメェに言われなくても行くつもりだ!」
「あぁ゙!?」
「おーおー、あんな全速力で走ってたぞ、あいつら。さっきの話し、本当なのか?ロビン」
「あら、長鼻さん。嘘に決まってるでしょ」
「何の為の嘘だよ!」
「だって、そっちの方が面白いじゃない。ふふふふっ」
「やっぱり女って怖えぇぇ………」
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