貢がせテクニック
やっぱり一人で歩くのは全然つまんなーい。トモダチとだったら、馬鹿みたいに騒ぎまくって無条件で楽しいし、大好きなサンジとだったら文句なしだし。
大体ヒロイン、一人って昔から苦手。常に誰かと一緒に居ないと何か不安になるんだもん。
「あ、ここに売ってるかなぁ?」
薬局チックなお店に入ることにした。案の定女の子に必要な物は揃ってて、とりあえず買うことにした。
「てかこのグロス可愛いー。超好みの色あ!ツケマももう買っとかないと」
ヒロインだけじゃないと思うけど、何で買い物に来たら目的の物以外の物にも目移りしちゃうんだろ。しかも買っちゃうし。あ!ていうかこれ、誰かそこら辺の男に買って貰おう。そうしよう。
「あいつでいっかぁ」
お店をウロウロしてる男の後ろ姿を発見。よし、久々本気出しちゃいますか。
ドンッ
「……痛ぁ…。あ、すみません!」
えへ、わざとぶつかってよろめく演出。そして見上げるときの上目遣いと涙ぐむこと忘れない。そしてそして痛そうにか弱い女を演じるのも重要ポイントね
「ごめん!大丈夫!?」
「全然大丈夫ですぅ…こっちこそごめんなさい!怪我はないですか!?」
はいここでボディタッチ入りまーす。
お、ていうか中々のイケメンじゃないですか
さすがヒロイン、後ろ姿でも見抜けるなんて。まあ、サンジの方が一億倍かっこいいけどぉー!キャー!
「良かった…、怪我はないみたいですね。……アレ?」
「どうかした?」
「どうしよう…財布どっかに落としてきちゃったみたいなの。アレがないと買えないのに…どうしよう困るぅ…」
「そうなの!?大丈夫?僕が払って上げるよ」
「そんな!悪いです!」
「いいからいいから。転んだ時に怪我させちゃったみたいだし。払わせて?」
「そんな…いいんですか?」
「うん、任せてくれよ」
あざーっす(笑)
良かった。貢がせる腕は鈍ってなかったみたい。
それから、無事男に買ってもらってお店を出た。
「あの、本当にありがとうございましたぁ。助かりましたぁ」
「いえいえ、ところでさ。この後暇?何かまだお詫びしたいし」
はい?何この男。こんな物買ったくらいでヒロインとデート出来るとか思っちゃってんの?そんな安い女じゃないし。
「ごめんなさい、これからまだ予定があるから…気持ちだけ受け取っときますね?」
「そっか………ならしょうがねぇな」
「え?……ひぃっ」
「黙ってついてこい。大声だしたら、このナイフで首を切る」
男はいきなりヒロインにナイフを突きつけてきた。
は!?ていうかいきなりキャラ急変したんですけど。どうしよう…恐いよ…。
こんなのあっちの世界じゃそうそうないし、力なんてないから撃退なんて出来ないし。こいついきなり目が逝っちゃってるし。
まじでやばい。
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