そして無事中学を卒業して、ついに雄英高校へと入学する。ヒーロ科といっても高校生。ワクワクしないはずがない!

「ん…んん…?」

クラスは1-A。広すぎる校舎に全力で迷子になった。ていうか扉がでかすぎる、スケールおかしくね?

「名前さん?」
「…!!百ちゃん!」

救 世 主 キ タ !入学前ガイダンスで仲良くなった、同じ推薦入学者。しかし迷子になったとは言いづらい。

「名前さんはクラスどちらでしたか?私はA組でした」
「!!わたしも一緒だよ〜!一緒に教室行こう!」

やった!と二重の意味で喜ぶ。これで教室にたどり着ける!元気にしてた?なんて言葉を交わしながらふと、思い出す。

「あ、百ちゃん、連絡先教えてよ」
「もちろんですわ!」

入学前ガイダンスで聞ければよかったのだが、あの時リカバリーガールの治癒によってほとんどの体力を消耗していたわたしはそれどころではなかったのだ。…そういえば。

「そういえば、あの車椅子ってどこからもってきたの?学校に問い合せたら違うって言われたんだけど…」
「ああ、あれはわたしの個性で作りましたわ」
「個性…!?」

聞けば、生物以外はなんでも作れてしまう個性らしい。すごい個性だな…!話していると、やっと1-Aという文字が見えてきた。

「ここかあ…改めてこれからよろしくね、百ちゃん」
「ええ!こちらこそ!」

ドアを開ければ数人かはもう席についていた。百ちゃんとは席が少し離れているらしい。私の席は廊下側から2列目の後ろの席だった。…え?ぼっち席?まじかよ!
生憎周りの人はまだ来てないみたいだ。席に荷物をおいて辺りを見渡せば眼鏡の男の子がこっちに向かってくるのが見えた、席近いのかな?

「俺は私立聡明中学の飯田天哉だ!よろしく」
「あ、わたしは名字名前だよ!よろしく!」

なぜかガシッと握手をすると、では!とまたほかの子のところへ行ってしまった。律儀か。周りの席の人いないし暇だし百ちゃんとお話しに行こ〜、と思ったら左前の席に人が来たみたいだ。

「あ」
「?…あ、」
「轟くん?」
「…名字…、」
「せいかーい!」

またまたガイダンスのときのツートンカラーの彼、轟くんだ。

「同じクラスだったんだね!よろしく」
「おう」

実は更衣室まで送ってくれた時、その後家まで送ると言ってくれてたのだ。流石に申し訳なかったから丁重にお断りしたんだけど、何かあったら連絡してくれ、と連絡先を交換していた。結局その日にお互い謝りあってから連絡はしてなかったけど。
偶然推薦メンバーで面識あった2人が同じクラスでツイてた!と心踊らせていると前の方でガタン!と音がした。
なにやら見た事のあるツンツン頭が登場して早々教室全体にガンつけて席についたと思ったら机に足乗せてますね。ワルだな。それをみた飯田くん?がギュン!と近寄って説教こいてる。真面目だな。

「ぶっ殺し甲斐がありそうだな!!」

ぶっ…殺…?ヒーロ科にしては物騒すぎるな!ヒーロ科入試1位の爆豪。そしてわたしの前の地元の友人だ。
かっちゃんも雄英に入ると言ってたのは覚えていたし合否も連絡したのにあの憎たらしい爆発ボーイはすべて無視しやがったのだ。あとで痛いことしてやろう(ヒーローとは)。

騒がしい教室前方を眺めていると、急に声が割って入った。

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

なんだあの小汚い人…って思ったら担任らしい。あんなヒーロー見たことないけど…でもなんか見たことあるような…記憶を掘り返しているといつの間にかみんな体育着に着替えるために席を立ち始めていた。慌てて立ち上がって迎えに来てくれた百ちゃんと更衣室へ向かう。

「なんで急に体育着?入学式は?」
「わかりませんわ…」

更衣室に着くともう女の子たちが着替え始めていた。意外と沢山いて嬉しい。

「お!ちーっす!私、芦戸三奈だよー!よろしくね!」

ぴょん!と声をかけてくれたのはピンクの女の子。その声に気づいたのかほかの子達も声をかけてくれる。
つゆちゃんに耳郎ちゃん、麗日ちゃんに、

「いえーい!よろしく!」
「ッうわ !??」
「葉隠透だよー!」
「おおおお…!よろしくね!」

透明人間…!
和気あいあいと着替えを終えてグラウンドに集合する。入学早々体操着着てグラウンド集合ってなんなの…入学式なわけないよな。

「あ、」
「あァ?…っいってェ!」

未だ周りにガンつけていたツンツン頭をげんこつで挟んでぐりっとした。
唐突なわたしの行動に一緒に来た女子たちがどよめき、変に目立ってしまった。

「なにしやがんだクソモブが!」
「クソモブ〜〜〜〜?かっちゃんにわたし負けたことないよね〜〜〜?」
「…オメー、名前か!」

やっとこっちを認識したらしく腕を降ろす。
振り向いた爆豪の額には青筋が立っていてちょっとやりすぎたな…とのんびり思う。

「なんでわたしの連絡無視したの?せっかく受かったよって連絡したのに!」
「テメエが受からねえワケねえだろ!」
「お…おお…?」

急に褒めてるようなこと言われてたじろいでしまった。この1年でキャラ変した?このビッグマウスから人を認めるような言葉が出るなんて…
なんて、のんびりしてる場合ではなく。
突如開始された個性把握テスト。クラス内で順位をつけられ最下位は除籍処分…?
なんでもありか雄英。 ていうか入学式は?







20200607

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -