誰かの呼ぶ声が聞こえた。















「……………」


目が覚めた。
見知らぬ天井、知らない臭い。
起きたばかりの頭はここがどこだか考えられるほど働いてはいない。
とりあえず起きようと身体を動かそうとすると、



「……!?っ…!」



身体中に激痛が走った。
見ると、身体に治療された後がある。
少ないとは言えないほどの傷。
そして自分が着物を着ていることに気付いた。


「…わけわかんない、なにコレ」


畳の部屋に着物にお世辞にもやわらかくない布団。
夢だと思ってもう一度寝ようとすると、


「名前!」
「わ!」


襖を開けて人が入ってきた。
あまりに突然すぎて飛び跳ねたらまた身体中を激痛が襲ってきた。かなり痛い。


「目が覚めたかい!…今みんなを呼んでくるからね」
「え、ちょっ…!!」


温厚そうな目をした突然の訪問者は突然去っていった。
しかし。


(今のは見覚えあるよ…)


脳内はパニックになっていた。

…あの人は確か、井上源三郎。
しかも、薄桜鬼の。


(これは…もしかしなくても)


もう一度、部屋を見回した。
どう見ても古きよい時代の日本家屋。


(トリップ、ってやつ…?)




目が醒めたら夢でした
(でも)
(源さんは)
(私の名前を知っていた)



20120218

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