午前練習が終わって部活は解散、少しだけ自主練をしてすでに誰もいなくなってしまった体育館をあとにする。
着替える前にトイレに行こうとしたけど改修工事で使用禁止になっていたことを思い出す。
…第三体育館が一番近いかな
そういえば今日男バレはオフって言ってたはずだから誰もいないはずだし、気まずくなくていいや。
第三体育館は普段と違ってシンとしていて、夏間近のカラッとした風が誰もいない体育館を通りすぎていった。
すぐ脇にある女子トイレに入った瞬間、後ろから背中を押されて、
「!?」
そのまま個室の1つに押し込められてドアが閉められた。
何事かと後ろを振り向けばそこには、
「っ、!?」
「やっほー、名前ちゃん」
オフでいないはずの、男バレ主将。
学年はひとつ違うが同じバレー部レギュラーとして何度も話したことはあるし、特別仲が悪いわけでもない。
「及川さん?」
押されて倒れそうになったところを後ろからお腹に手を回されて支えられているせいで振り向き見上げる形で見た彼は、他の女子が歓声をあげる及川スマイルだった。
「何、して、」
「練習お疲れ様!」
「はあ、」
よく考えなくてもトイレの個室は二人で入るものではないしそもそもここは女子トイレだ。
「いや、俺もちょーっと自主練しててね?そこに名前ちゃんがトイレに行くのが見えたからさあ」
どんな理由だ。
そう呆れて密着していることが恥ずかしくて、いい加減離してもらおうと身を捩ればお腹に回っていた手が急に上へ上がってきた。
「!ちょっ、」
「うん、だからね、」
その手はそのまま胸へとたどり着く。
「――ちょっと付き合ってよ」
***
少ししめっぽい女子トイレ。
そこに自分の声が響いていくのが嫌でもわかる。
「は、っ…あ、」
着ていたTシャツは下着ごと首もとまでめくられて意味を成していない。そのまま後ろから抱きつかれるようにして伸ばされた腕は下半身へ。
「っ、……」
ジャージの隙間から侵入した手は下着までも通過して直接そこを触っている。
余った左手は脇腹から胸を往復するかのようになぞっていて、くすぐったさもあってその動きに合わせるかのように身体がビクビクと動いた。
下着の中で動きにくいだろうにその指は器用に神経が集中している蕾をこねくり回す。
甘い痺れが全身に廻ってきたところで身体の中心が段々と熱くなっていくのが嫌でもわかった。
「ひ…んっ」
「ん、濡れてきたね」
ぬる、という感覚を受けとると耳元でその事実を突きつけられる、大方意地の悪い笑みでも浮かべてるのだろう。
「も、やめてくだ、さい、っ」
好き勝手動く腕を掴んで制止を試みても既に力の入らない腕では抵抗にならない。
そして遂に押し入ってきた指がぐるり、と中を一週する。その時入り口近くのざらついたそこを掠めて、思わず背中を反らして及川さんに身体を預けてしまった。
寄りかかったその胸板は案外しっかりとしていて思わず男らしさを感じる。
「ナニ、もしかして調教済み?」
「そんなわけないじゃいですか…っ」
「へえ〜」
そのまま見逃してもらえなかったそこを重点的に触られる。一定のリズムで圧されたり、その周りをなぞられたり。
それでも声を必死で我慢していたが、いきなり後ろから首筋を舐められた。
「ひ、あっ!」
ぬるっ、という感触に思わず声をあげてしまった。首に気をとられている隙に中の指は本数を増しバラバラと好き勝手に動く。的確に私が反応した所を捉えて容赦なく追い詰めていって、
「〜〜〜〜っ!」
止めさせようと腕を掴んでいた手と後ろから回った腕に固定されていた腰がビク、と跳ねた。
「あらら、イった?」
「はっ、…は…」
早かったね〜、と笑いながら言う及川さんを睨み付ければ、ニッコリと笑って、
「まだ終わりじゃないよ?」
「――!!!」
くるりと身体を回されて洋式の便器へと座らされる。蓋を閉めたままのせいで盛り上がった形状のそれで前にずり落ちそうになって慌てて足で体重を支えた。
が、それがいけなかったのか膝の間に滑り込んできた身体のせいで膝が閉じられない。
ハッとして上を見上げれば彼はいつもと少し違う表情をしていて、まるで捕食者のような目に背筋を震わせた。
「及川さ、っ」
便器に座らされる拍子にずり落とされたジャージと下着が足に絡まって動けなくなってしまった。それを良いことに再び其処へ手を這わされる。
「……い…や、っ」
今度は遠慮なく入れられた指に達したばかりのせいかさっきよりも身体が敏感に反応する、それに気をよくしたのか笑みを浮かべた及川さんは一度指を抜いて私が着ていたシャツと下着を抵抗をものともせずに脱がした。
トイレの個室でほぼ全裸にさせられたことが自分の薄れがかった正常な思考をさらに遠くへと持っていってしまう。
「は、ぁ…っ…ん、」
「よく喘ぐね、名前ちゃん」
「…!っ、う」
耳元で囁かれたその言葉に口を開けば反論は許さないとばかりに蕾をキュッと摘ままれて、出るのは文句ではなく喘ぎ声になってしまった。
「ははは、かーわいい
…もう1回イこうか?」
「!!?っ…!!!ん、や…っ!」
蕾を親指でこねくり回しながら、人差し指と中指で中のいいところを執拗に刺激をされて5秒足らずで達してしまったが、気づいているだろうにそのまま刺激する手を止めない及川さんに思わず顔を上げる。
いつもよりも意地が悪い笑顔で指を動かし続ける彼を睨んで胸元を殴ろうとしても強すぎる刺激に涙が流れて相手のTシャツの胸元を掴んですがりつくような体制になってしまった。
とめどなく出る声を必死で唇を噛んで抑えるけれど、漏れでてくぐもった声が回りに響く。
「我慢しなくていいよ?」
「――んンっ!」
ビク、と身体を震えさせて達した。さすがに終わると考えていたのに止まらずさらに私を追い詰めていく。懇願するような目で及川さんを見ても笑っているだけで。
「っ〜〜〜、あぁっ!!!」
結局止まったのは私が5回目に達した時。
達したあとしばらくしても痙攣が治まらなくなった身体はだるくて重く、力が入らない。
胸元に倒れこんだままだった私の頭を撫でた及川さんは上機嫌に笑う。
「気持ちよかった?」
それに答えずに息を整えていると、私の片手を取って下へと導く。
「っ……」
「わかる、でしょ?」
そこは既に固く熱くなって存在を主張していた。
思わず手を引っ込めようとするけど及川さんの手がそれを許さないとばかりに押し付ける。
心底嫌な顔で彼を見上げれば、
「自分は気持ちよかったでしょ?ギブアンドテイク、だよ。名前ちゃん」
それとも自分だけで終わるつもり?と憎たらしく言われ、そもそもアンタが勝手にやってきたんだろ…と思いながらも負けず嫌いが働いて無駄に整った顔が性欲にまみれているところを睨み付けながら目の前のジャージに手をかけた。
やましい善意
20140605
20200515 加筆修正
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