任務で失敗した。
派手に身体から飛び散った血が地面を汚している。
目前に迫ってくる死の存在がはっきりとわかる気がして、ゆっくりと目を閉じた。


私はずっと新選組監察方として新選組を支え、他のものはすべて切り捨ててきた。新選組の役に立つならどんな汚い仕事にも手を染め、花を売ることさえも厭わなかった。特に後者は華奢であっても男である山崎くん、ましてや島田さんにはできるはずもなく。
その度に苦しそうな顔をした土方さん。きっと自分のせいだと思っていたのだろう。すべて私の意思なんだと、なんども伝えたけれど…彼は、きっと自分を攻め続けるのだと思う。本当はとてもやさしいひとだから。


そして順々に新選組のみんなの顔が浮かんでくる。
私に人の心の暖かさを教えてくれた近藤さん。
いっつも楽しそうに意地悪をしてきた総司。
無口だけどすごく気配りができて優しい一くん。
本当に見た目も中身も良くできてて潜入先の遊郭でも人気だった左之さん。
いつもうるさくて筋肉ばっかり見せてくるけどいざとなったら頼れるぱっつぁん。
少し怪我をしただけでも本気で叱ってくる、何度も一緒に死線をくぐった山崎くん。


みんなとの楽しかった、たくさんの思い出が頭をよぎる。


そして最後に出てきたのは平助。

昔はやっぱり普通の女の子の幸せは自分にはもうかなわない願いと思ったら本当に辛かったこともあった。自分は汚い女だ、と言って泣いたらお前は汚くなんかない!とか怒りながら言って手を握ってくれて。
どんなに悲しいことがあっても1人でいたいのにいつの間にか隣には平助がいて。


平助との思い出がたくさん蘇ってきて、もう一度だけでもいいから平助に会いたいなあ、なんて。
すでに新選組を抜けて行ってしまった彼の背中を思い出す。

自分はきっとここで死んで、平助はそれを知らずに生きていくのだろう。


「へ…い、すけ…」


だんだんと視界が霞んできた。心なしか指先の感覚もなくなってきて、ああもう死ぬんだ と、思 っ て、









これにて終焉

(偶然通りかかった彼は)
(冷たく動かなくなった彼女を)
(見つけてしまった)




20120501

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