ぽかぽか小春日和。
洗濯物も夕餉の仕込みも終わって一段落ついて湯飲み片手にお日様のあたる縁側へ。
きもちいい春の風と日の光で柱にもたれかかってうとうととしていると足音が聞こえてきた。
「…名前?」
「ん、…あ、総司」
こんなところで寝たら風邪引くよ、と笑いながら私の隣に座る。
「でも気持ちいいでしょ?お日様」
「そうだね」
「みんなで桜見たいねえ。はやく咲かないかな」
たぶん新八さんとか大騒ぎしそうだよね、と言うと総司はまた笑って不意にごろんっ、と私の膝に頭を乗せてきた。
「…こんなところで寝たら風邪引くんじゃなかったの?」
「名前じゃないから大丈夫」
なんて憎たらしいこといってくれるからおでこを軽く叩いてやった。
「ところでさ、名前?」
「ん?」
満面の笑みで私を見上げる総司に軽く違和感を覚える。
…これは、嫌な予感。
今までの中でこんな顔をした総司がまともなことをされたことはない。
伸ばした手を私の後頭部に添えて言う。
「僕の金平糖、知らない?」
「金平糖?」
「うん、部屋に食べかけを置いといたはずなんだけどなくなっててね」
「…知らないよ?」
「…ふうん?」
目を細めて後頭部に添えた手を肩に回して、自分は起き上がって、
「った!」
柱に押し付けられた。
「本当に知らない?」
「し…しらないよ!!」
「一くんが僕の部屋に入る名前を見たっていってたんだけど?」
「ええっ一くんいたの!?」
訪れる沈黙。
「………………」
「………………」
「………名前?」
後ろには柱、目の前には満面の笑みの、総司。
「…ごめんなさいいただきました」
「ん?聞こえないなあ」
「私が食べました…!」
「ほら、もっとおっきな声で言わないと聞こえないよ、何?」
「っ……私が!食べました!!!!」
たぶん屯所全体に響き渡ったと思う。
総司は相変わらずの満面な笑みだし、顔に熱が集まってくるのがわかる。
「……まあ、怒ってないんだけどね」
「え」
「でもまあ、このままなのもつまらないしね」
「?…えっ、総司…?……あの…?………お、沖田さん?」
笑顔で私の両手首をがっしり掴んでそのまま近づいてくる。逃げようにも後ろには柱があるし、助けを求めようにも周りには人っ子一人いない。
どんどん近づいてくる総司の顔に背中に汗が流れる。
「そそそ総司…っ」
「勝手に金平糖食べた罰と言うことで」
ついに唇が総司のそれに触れそうになった瞬間、
がぶり
「!?…〜〜〜〜っ!」
唇の外側全体を、噛まれた。
「ははは、顔真っ赤!」
おかしそうに腹を抱えて笑う総司に殺意が湧く。
それに気付いた総司は笑うのをやめて、期待した?と聞いてきたので全力で否定しておいた。
「素直じゃないなあ」
「うるさい!」
軽く笑ってまた私の膝に頭を乗せてきた総司が、
「次は一緒にお団子でも食べにいこっか」
って言ったので何も言えなくなった。
告白は絶叫
(……総司の奢りでね)
(まさか。金平糖食べちゃったのは名前なんだからしっかり返してもらうよ?)
(………)
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よくわからない感じになってしまった…!
とりあえず総司に仕返しさせたかった。
20120227
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