「ナマエっ」
「ステラ!なぁに、それ?…ゲーム?」
「ネオに、もらったの」
嬉しそうに携帯ゲーム機とそれ用らしいゲームソフトをぎゅうと抱き締める少女はステラ・ルーシェ。わたしの大事な大事な恋人だ。
聞くところによると、そのゲーム類は我らが上官ロアノーク大佐が、一人遊びが好きな(?)ステラのために用意したものらしい。
「へ〜、ロアノーク大佐が珍しい。いや、ステラはかわいいから当然よね!」
「ナマエ、これ、何てよむの」
「どれどれ?…はくおう…って、これ地上で有名な恋シュミゲーじゃん!あの人、ステラにこんなもの渡してどうするつもりよ!?」
見目麗しい男性キャラが並んだパッケージのそれは、新選組と呼ばれる武士集団や唯我独尊な鬼と切なく儚い物語の中で恋をするという設定のゲームで。
ステラはこういうの興味なさそうだし、そもそもわたしが居るし!
ていうか、何でロアノーク大佐が女性向けゲームの存在を知ってんのよ?暇なの?
「これはねステラ、ステラが主人公になって、このキャラクターの誰かと恋してハッピーエンド…みたいな、その類いのゲームなの。」
「ナマエは出てこないの?」
「いやいやいや恋愛ゲームにわたしが出てきたら突っ込みどころすぎて突っ込めないよ」
「そっか…」
途端にしょぼくれるステラ。
何でゲームにわたしが出ないだけで落ち込むの!?かわいいけど!
「ま、まあほらステラ!せっかくロアノーク大佐がくれたんだから、やってみたら?おもしろいって評判だし、ね?」
「…うん、やる。ナマエもやろ?」
「うん、見てる!」
小首を傾げてこちらを見つめるステラに笑顔で頷き、ゲームを開始するステラを見守った。
わたしはソフトに付属していた説明書を拝借し、ぱらぱらと流し読む。
「あ、このひと好きかも。」
「どれ」
「こ、このひと」
好きかも。と言った瞬間、物凄く不機嫌な声音で間髪入れずに聞き返してきたステラに内心びくつきつつも該当するキャラを指差してみせる。
短く無造作な髪、力強い笑顔、逞しい体躯の彼は、残念ながら攻略対象外らしい。
惜しい人材が…などと思っていると、ステラがとんでもないことをいい始めた。
「…ステラ、明日からむきむきになる」
「は!?何!?どうしたの急に!」
「このひと、むきむき。」
「え、あ、うん、そうだけど…何でステラがむきむき目指すの!?」
「ナマエ、そのむきむきのひと、すきっていった」
「へ」
ステラさん、つまりそれは、対抗心?嫉妬からくる?
………どうしよう。嬉しい。
けど勘違いだったら恥ずかしいな。自惚れだったらどうしよ。
いや、ステラに限ってそれはないか。
「ステラ、わたしむきむきじゃなくてもステラすきだよ?」
「…ほんとに?」
「もちろん!このひとより、ステラの方をあいしてる。比べるまでもないよ」
「…ステラも!」
「ふふ、ありがとう。あでもステラはロアノーク大佐にべったりだもんね?」
「ネオなんかよりナマエ!」
「あらあら、ほんとに〜?嬉しいなぁこいつめっ」
笑顔でロアノーク大佐を突き落としたステラがかわいくて愛しくて、むぎゅーっと抱き締めた。
「ゲームやめるっ。ステラ、ナマエと、こうしてる。」
「ふふ、ステラはあまえんぼだね」
ゲームを投げ捨てて、背中に手を回してすり寄ってくるステラのすべすべのほっぺたに、小さく口付ける。
この感触は、ゲームなんかじゃ感じれない。愛しいひとの一挙一動も、体温も、吐息も。ゲームなんかじゃ味わえない。
ゲームなんかとは違う。
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悠希さん( みずいろしんどろーむ )から
相互記念に頂きました!
いやあステラかわいい。本当にかわいい。
あの綺麗な金髪とかあどけない表情とかマジ天使…
ちょうど今種のリマスター見て滾ってたところに
頂いてもう…もうね…!!
ありがとうございました!
私も書かねば!(笑)
20130106
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