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風呂から出るなり始まる。毎晩毎晩疲れ果てて帰ってきては、職場でのストレスを全部性欲に変えて俺にぶつけてくる。その度に排泄感に耐えて、自分でも笑えるくらい下手くそな喘ぎ声をオーバーに出せばたちまち興奮して息を荒げる。只管に気持ちが悪い。気持ち程度のサプリメントでドーピングまでしてるのに萎えてしまっては俺の努力の意味がなくなってしまうから極力思わないように思考を保つのも努力しなくちゃならない。本能に任せたセックスなんかもう昔の記憶すぎて覚えていない。揺さぶられながら只々早く終わってくれと願うばかり。全然気持ち良くない。愛してる、愛してると戯言の様に呟く男。身体を代償に寝泊まり出来る場所と飯を与えてくれるこいつを、俺は愛してなんかいない。一際大きく愛してると叫んだ男は、その全てを白濁に含んで俺の中に吐き出した。

俺がシャワーを浴びてる間に奴は眠る。ヤッた後は死んだように眠って朝早くに仕事に出て行く。
男とは売り専で知り合った。たった一回会ってヤッただけなのに別れ際に家がない、と言うとあっさり俺を招き入れた。冗談だと疑った俺を見かねてか次の日は車で迎えにまで来た。正直どこが良くてこんな汚れた人間を受け入れようと思ったのか未だにわからない、ただ単に馬鹿なのかもしれない。もうかなりの月日が経つがろくに会話もせず、本当に俺はただの性欲処理機としてこの家に置かれているのだと実感する。愛してるって台詞が頭の中で反復して止まない。

女との経験がないのか、俺が男だからなのか知らないが、ほとんど触れずにツッコんできやがるからこいつが風呂に入ってる間に自分でほぐしとかなきゃいけないことと、最中の安っぽいセリフ以外は上出来だった。なんせ早漏だしゴムは必ず付けるし風呂にも入った後だし。俺が嫌がることは殆どしてこない。
残念ながら俺はこいつでイけないし、むしろ萎えるくらいに下手くそだし、たまに一発ヤッただけで数枚の諭吉をくれるヤリチンホストに会いに行くが、そのことについても何も触れてこない。
結局は行く当てがないから自分のところに必ず戻ってくるとでも思っているのかもしれない。だが正直その通りだった。恋人ぶって求めてないものを与えてくるような奴より、道具として扱われるほうがよっぽど気が楽で居心地がいい。こいつのいない1日の大半の時間は家に一人で自由だし、俺は何の不自由もなくこの男の家に入り浸ってヤるだけの生活を続けていた。



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