夜色の約束
※カルディアとガンダムWのデュオのパラレル話
「なあ、あんた随分と変な格好だな」
「誰が変な格好だ!聖衣も知らねぇのか…!」
「クロス?」
「……いや、知らないならいい。それより、俺をこんな場所へ連れてきたのはお前か?」
「いいや、俺の方こそ気付いたらここに居たんだ。で、あんたは何者?」
「俺は戦女神の聖闘士、蠍座のカルディア。お前は?冥闘士か?」
「ちょっと待ってくれよ、セイントとかスペクターとか、よく分かんねぇんだけど…」
「……ハァ、」
「おいおい!何だよその溜め息は!」
「聖闘士でも冥闘士でもないならただの一般人だろ。俺は俺と互角に戦える、熱をくれる奴にしか興味ないんだよ。お前みたいなの相手にしてる時間はねぇ」
「って言っても、見渡す限り真っ白だぜ?ここには俺とあんたしか居ないんだ。だっだら話くらい付き合ってくれても良いんじゃないか?」
「見ず知らずの他人と何を話すんだよ」
「他人だから話すのさ。あんたはカルディアだっけ。俺は死神のデュオ。デュオ・マックスウェル」
「…死神?」
「あぁ、俺の姿を見た奴には死んでもらわないと困るんでね」
「それは俺も、か?」
「そう恐い顔するなって!もしそうなら名乗る前に殺っちまってるよ!」
「……」
「多分だけど、俺とあんたは住む世界が違う。俺はクロスやらセイントやらを知らない。けど、あんたもモビルスーツやコロニーのこと、知らないだろ?」
「もびるすーつ…?」
「やっぱり、な。何の因果でここに呼ばれたのかは知らないが、取りあえず俺とあんたが争う理由は無いみたいだぜ」
「……その、あんたって呼ぶのやめろ」
「え?あぁ、えっと、カルディア?」
「なあ、デュオ」
「…っ、なんだよ改まって」
「お前はさ、どうやって人を殺すんだ」
「……あー…、俺の場合は、デスサイズっていう相棒がいるんだけど、」
「相棒?」
「言っちまえば、大量殺戮の兵器だよ」
「あぁ、お前、悪い奴なのか」
「ちが…っ!……わ、ない、か」
「何だよ、ハッキリしねぇな」
「……俺の世界じゃ、戦争の真っ最中なんだ。味方からすれば俺は英雄だろうが、敵からすれば畏怖の対象でしかない。ただの大量殺人者だ」
「それで、死神、ね」
「あぁ、」
「だったらその『相棒』がいない間はただの子供ってわけか」
「な…っ!」
「そう睨むなよ。安心しただけだ」
「……安心?」
「こんな何もない場所で『死神』とご対面なんだ。迎えが来たのかと思ってな」
「どこか悪いところでもあるのか…?」
「心臓を患ってる。けど、まだ死ぬわけには行かないんだ。最高の相手と最高の戦いの中で、自分を全部使い切って、熱を感じて死にたい」
「ははっ、あんた五飛と気が合いそうだ……って、カルディア!」
「急に何だよ。…デュオ、お前身体が…!」
「お互い様みたいだぜ。ひょっとしたら元の世界に帰れるのかもな」
「そうなったら、もう、会うことは無いだろうな」
「んじゃ、潔くお別れといきますか」
「あぁ、そうだな」
「…あ、そうだ。あんたが死んだら、死神として迎えに行ってやるよ」
「ハッ、ならこっちの戦争が片付くまで死ぬんじゃねぇぞ」
「生憎、悪運だけは強いんでね」
「それは結構。じゃあな、デュオ」
「あぁ、またな、カルディア」
夜色の約束
(何故だか分からないが、また逢える気がした。)