鐘は鳴り、魔法は解けた



※原作生き返り設定



「シュラよ、俺では駄目だと言うのか」
「……あぁ」

――あんなに愛していたと云うのに

この手で殺めたお前を愛おしいと
会いたいと、望んだのに

「アイオロス」
「ははっ、余所余所しいな」
「……すまない、」
「それは何に対しての謝罪だ? 断ち切った今までの関係に対してか。それとも、弟を妬む俺への贖罪のつもりか?」
「…っ、」

惹かれてしまった
同じ姿形をして、全く違う正義を映す
その、獅子の、瞳に

女神を裏切った俺達を本気で殺そうと射抜く、獣の眼が
脳裏に、心臓の奥に、焼き付いて胸を焦がす

「…ただの、自己満足…だな」
「だろうな。お前はちっとも悪いだなんて思っていない。軽々しく口にするくらいなら、そんな謝罪は無い方がマシだ」

冷めた眼が俺を射抜く
同じだけ冷えた唇が刹那的に重なって、離れた

「…こんなことになるなら、」

伏せられた顔
その表情は読めないが、恐らく、酷く悲しい眼をしているのだろう
気丈に振る舞う声だけが、痛い

「お前に殺されたまま、生き返らなくて良かったのに」

――あぁ、俺はなんて残酷にお前を傷付けるのだろう

「それでも俺は、今お前にこうして触れられて、良かったと思う」
「お前は、本当に酷い男だな」
「すまない」
「ははっ、いっそ嫌いになれたら楽だったのに」


(そう言って泣くお前を、美しいと思った。)
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鐘は鳴り、魔法は解けた




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