call

 


無機質な電子音が静かな部屋に鳴り響く。
普段であれば、好き勝手に押し掛けてくる奔放な猫のお陰で騒がしくなるはずの時間。
その猫が来ていないのだから、つまり、着信はその猫から。


『…もしもし、カルディア?』

「俺以外に誰が出るんだよ」

『あ、そっか』


もし他のやつが出たらどういう反応をするだろうか。
デジェルはともかく、マニゴルドの場合、置きっぱなしにしておいたら勝手に出てもおかしくはない。

そうなったら、不機嫌になるのは確定だ。
お仕置きだの何だのという名目で一晩中責め立てられる可能性が極めて高い。


「…当たり前だろ、」

『うん、そうだよね』

「で、何か用があったんじゃないのか」


さり気なく保険をかけて、先を促す。
どうせ部活で遅くなったとか、来られない理由の弁明だって分かってるけど。
今ここに居ないのなら、ただ、それだけだ。


『あ、そうそう。玄関開けて欲しいんだけど』

「……は?」

『合鍵持ってくるの忘れちゃってさ』


気怠い身体を引き摺って玄関まで行き、金属製の鍵を捻る。
それと同時に開いた扉の前には、見慣れた金毛の、猫。


「おまたせ、カルディア」

「待ってねぇよ」

「そう? 呼ばれた気がしたから来たんだけどなぁ」

(――あぁ、全部お見通しってことか。)


抱き寄せたら遠慮がちに離れられて、それがムカついたからキスしてやった。


「カルディア、俺まだシャワー浴びてないから汗臭い、かも…っ」

「俺もまだだけど」

「一緒に入る?」

「断っても無理やり入ってくんだろ」

「当たり」



(C;call=呼ぶ)




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -