Bitter
デジェルに貰った飴玉のような包みを開けば、黒い塊が姿を見せた。
白い包みがホワイトチョコ、そして赤がミルクと来たからには、青い包みのこれは恐らくビターだ。
「どうしたの?」
「いや、多分これビターだろ?」
「あ、うん。さっき食べたら苦かった」
「お前は苦いの平気だっけか」
「ホワイトよりは好き、かな」
そう言ってレグルスは俺の手から青い包みを奪う。
別段苦いのが嫌いというわけではなく今の気分に合わないだけだが、どうせ押し付けるつもりだったので丁度良い。
「この包み、さ」
「うん?」
「カルディアの髪色にそっくりだよね」
…天性の馬鹿だ。馬鹿ネコ。
チョコレートなんか目じゃないくらい甘ったるいセリフをポンポンと吐き出すレグルスの脳味噌は砂糖と筋肉でできてるんじゃないだろうか。
「ね、カルディア」
「…なに」
「たまには苦いキスってのは、どう?」
「パス」
「なんだ、残念」
どうせなら甘いのがいい、なんて。
そんなこと言ったら調子に乗るんだろうな。絶対言ってやらないけど。
(B;Bitter=苦い)